「三つの文化を生きたからこそ」映画界の”アウトサイダー”アン・リーが描く東西文化のマリアージュ【世界文化賞】(後編)
East Meets West 芸術の“仲介者”として目指すもの
台湾を取り巻く環境が世界の耳目を集める中、若い世代に伝えたいメッセージを聞いてみた。 リーさん: 私は、映画はどんな政治的な問題よりもずっと長く続くと信じています。みんなが平和に暮らし、映画を通じて体験を分かち合うことを心から願っています。 東西文化のマリアージュ、そして、それを通じた世界の平和。文化芸術の果たす役割は、東西の調和を図る“仲介者”にかかっていると言っても過言ではない。帝政ロシアの文豪トルストイは言う。 芸術によって、同じ時代の人たちが味わった気持ちも、数千年前に他の人たちが通ってきた気持ちも伝わるようになる。 芸術は、いま生きている私たちに、あらゆる人の気持ちを味わえるようにする。 そこに芸術の務めがある。 時空を超えて伝わる芸術の意義を、古希を迎えたばかりのリーさんは映画への情熱と共にどう語ってくれるだろうか。 「第35回高松宮殿下記念世界文化賞」の授賞式は11月19日、東京都内で開催される。 (サムネイル:ニューヨークの事務所にて 2024年5月 © 日本美術協会/産経新聞)
中本 尚志