裏切り者ってこと?『ワンピ』五老星に「サンドワーム」がいるのは何故なのか
サンドワームは裏切者なのか
『ONE PIECE』の「エッグヘッド編」では、世界政府最高権力「五老星」たちがついに秘められた力を見せつけました。その姿は妖怪をモチーフにした悪魔の実の能力者、あるいは妖怪そのもので、2024年の『ONE PIECE』界隈でいちばん衝撃的なトピックのひとつだったと言えます。しかしそこに1体だけ、なんだか場にそぐわない怪物がいたのも事実です。 【画像】え…っ? 「デッカ」「怖すぎ」こちらが五老星のなかで「浮いていた」怪物です ネット上で盛り上がる、「仲間ハズレ」キャラに関する考察をまとめてみました。 ※この記事では『ONE PIECE』単行本未収録の最新展開の内容に触れています。 「アジア圏」という点で統一はとれている? 五老星が変身した姿は「牛鬼」「以津真天」「封き(ほうき、きの漢字は『豕+希』)」「馬骨」、そして問題の「サンドワーム」です。「シェパード・十・ピーター聖」が変身したサンドワーム以外はどれも古い日本や中国の妖怪なので、違和感が際立ちます。 しかし、サンドワームの元ネタとされるのは、博物学者ロイ・アンドリュースが現地(モンゴル)の役人の集まりで聞いたとされる「モンゴリアンデスワーム」です。つまり西洋のイメージがあるサンドワームも、もとを辿ればアジアの伝説が発祥と言えます。この説ではアジア圏の妖怪という共通点に意味を見いだそうとしています。 五老星は「家畜」説も 五老星が変身した漢字の妖怪は、牛、鳥、豚(猪)、馬が元になっています。これらはすべて、人間が長い歴史のなかで家畜化してきた動物です。そこでやはり仲間はずれになるサンドワームですが、これは「蚕(かいこ)」に該当すると解釈すれば統一感が出ます。ピーター聖の役職が、「農務武神」であることも関係していそうです。 この説だと、もともとは人間に搾取されてきた家畜動物だから人間を虐げて復讐しているのでは? 魔法陣から出てくるのは悪魔に力を授けられた? など、世界の構造にも考察が及びます。または、世界政府の頂点にいる「イム様」にとって、彼らが家畜のような動物ということなのかもしれません。 実はピーター聖が裏切っている説 変身後の姿に共通点を求めるのではなく、異物であることそれ自体に理由があると考える読者もいます。実は「シェパード・十・ピーター聖」の本名は「シェパー・D・十・ピーター」であり、変身後の姿も「サン・D・ワーム」ではないか、という考察もあるようです。 作者の尾田栄一郎先生はよく「語呂合わせ」を使うので、可能性としては十分ありえます。ピーター聖は実は「Dの一族」であり、世界政府側に寝返って五老星の地位を得たか、あるいは何らかの目的のために正体を隠しているのかもしれません。ほか4人があきらかに老人の見た目なのに対し、ピーター聖だけ金髪の中年男性という見た目なのも、「後から加入した裏切者」だからなのでしょうか。 多くのファンがさまざまな持論を展開していますが、現時点で決定打になりそうなものはなさそうです。しかし、それも『ONE PIECE』では当然のことでしょう。 長年にわたって謎の人物だった天才科学者「ベガパンク」が登場したとき、まさか「自分を分割していた」などど誰も予想できたでしょうか。「バーソロミュー・くま」の過去も衝撃の連続でした。 何年か先には、なぜ妖怪のなかに「サンドワーム」という異物感のある怪物が混じっていたのか、びっくりするような理由が明らかになるでしょう。 そして、「エッグヘッド編」の終盤では、数々の失態のせいで「ジェイガルシア・サターン聖(牛鬼)」が、イム様の何らかの力によって干からびて死亡、代わりの五老星として「聖地マリージョア」を守る「神の騎士団」の団長だった「フィガーランド・ガーリング聖」が加入しました。素の状態で強いと思われる彼も、何らかの怪物に変身するのでしょうか。これからの展開も見逃せません。
レトロ@長谷部 耕平