【京都】曹貴裁監督5シーズン目の始動 今季は「ボーンマス精神」でタイトル獲得へ
京都サンガF.C.は9日、京都・城陽市内のサンガタウンで今季初練習を行った。約45分間のミーティングを終えてグラウンドに姿を現した選手は、サポーターあいさつした後に2種のランニング、鳥かごなどのメニューをこなし、ゲーム形式の練習で締めくくった。 取材に応じた曹貴裁監督(55)は、前日に行われた新体制発表会に続き「アウトサイダー」というフレーズを使って、自分たちのスタイルを貫くことの重要性を語った。 曹監督のいう「アウトサイダー」は、「よそ者」ではなく「独自」が近いイメージ。「J1の中で他のチームに似たスタイルはない思うが、それを自分たちの真ん中において構築していく、自分たちが信じるものを突き詰めていく」とチームづくりへの考え方を説明した。 昨季はシーズン途中まで下位に沈み、J2降格も危ぶまれたが、FWラファエル・エリアス(25)も加わった夏以降に息を吹き返した。その結果は、スタイル変更によるものではなく、継続したことでの成果だと考えている。指揮官は「今の流れを考えて枝葉を付けていく考えはなくて、自分たちで幹を太くする中で自然に枝葉が出てくる。去年できたことが当たり前にできるとは思っていないが、継続することのメリットを最大限活用しながら、理解を深めてやっていきたい」と京都スタイルをさらに磨き上げていく考えを示した。 オフ期間にイングランドへ渡った曹監督は、昨年10月にパートナーシップを締結したプレミアリーグのボーンマスを視察。MF安斉悠人(19)とDF飯田陸斗(19)がU-21チームに練習参加していたこともあって実現したクラブ訪問は、「アウトサイダー」として新シーズンに臨む覚悟を強めるものとなった。「非常にいい練習をしていたし、自分たちが目指す方向を明確にしていた。『攻撃だけやる選手は取らない』と言っていて、(ブラジル代表FWで現在5得点の)エバニウソンより点を取れる選手はいるけど、その中でなぜ彼にしたかの理由も聞いた。クラブとしてのコンセプトと(アンドニ・)イラオラ監督がやるものが一致していて、それに選手がプライドを持って取り組んでいるのは、我々にとっても勇気が出るものだった」。現在プレミアリーグで7位につけるクラブから、大きな刺激を受けた。 この日のミーティングでは、選手にもその思いを伝えた。「自分たちが(マンチェスター・)シティーや(同)ユナイテッドではない、ボーンマス精神を学ばなきゃいけない」。クラブ全体がが一体となった姿勢でシーズンに入ることを確認した。 今季の目標はタイトル獲得。「我々は(優勝争いの)本命でも対抗でもない、ダークホースの位置。そこから脱皮するためには、突き詰めながら上に行くことを共有していかないといけない。他の何色に染まるんじゃなくて、サンガの紫色に染まるようなサッカーを極めていきたい」。京都5年目の指揮官率いるチームが、躍進に向けて動き出した。【永田淳】