動物園改革部長は元エリート官僚でTVチャンピオン「動物園王」 ── 天王寺動物園・牧慎一郎部長
100周年は1年間を『シンボルイヤー』に
就任後、間もなくやってきた「天王寺動物園100周年」。ただ「100周年だからといって、その記念日である1月1日でで終わりにはしたくない」とも話す。「100周年は正月が誕生日だが、私は1年間を『シンボルイヤー』ということにして、引き続き天王寺動物園に注目してもらわな」 なぜなら大阪(関西)の人たちにとって「天王寺動物園」というのは宣伝をする必要がないくらい知られた存在だ。だが「動物園によく来るのか?」といわれれば、自分が子どもの時、そして自分が子どもを連れて行く時に再び来るだけ、といった人が多いのも実状だ。現に一昨年の入園者数は、平成に入ってから最低となる116万人となっている。 「子どもの時以来、久々に園に来たという方々は『子どものころよりきれいになってる』と話す。けどそれは言い方を帰ればイメージが『昭和のまま』だからきれいに見えるんですよね。確かに新しいエリアもありますが、それができてからだと10年以上にもなりますしね。20年くらいで きれいに右肩下がりとなっている入園者数。それを手をこまねいていたら、状況はさらに悪くなってしまう。だからこそ『改革が必要』」と牧部長は力説する。 この「100年」というキーワードから、この動物園へ「久々に行こか」と足を運んでもらえるように思ってもらうこと。また、それ以外でも「昔のイメージと違っておもしろい」といった印象を持ってもらえるようにせなアカン」。そんな思いから昨年12月には、大阪市交通局の地下鉄谷町線に動物を乗せ「ふれあい列車」を運行するなど、これまでにない取り組みは注目をあびた。
100年に敬意をはらうが、欲張るなら『次の100年』までを
また「こだわってつくったところをもっと発信しなきゃいけない」とも話し、園内の掲示一つひとつにも、スマホをかざしたら、その動物の情報がわかる「デジタル動物図鑑」を関西で初めて導入するなどした。単に「ハコモノ」ではなく、これまでに作ってきた立派な施設などをもっと生かしていかなくてはいけないと考えてのことだ。「生き物を見るのはおもしろいことなんで、もう少しポテンシャルはあるんやないかな」 「これまでの100年には敬意をはらうが、欲張るなら『次の100年』までやっていきたい」と牧部長。「今までと同じじゃだめ、時代に合わせて次の時代まであったようなものにする。次の一手を打ちに行かなくては」と、さらに新たな取り組みを模索する。もちろん、財政は厳しいが、そんな中でも「できる」取り組みを実行に移していく。 次を目指すという点では、世界的にみても日本代表選手として戦えるような動物園という存在でなければいけない。「日本で3番目に古い動物園たるもの、国際的な動きは維持していくうえでも必要なこと」と話すように、海外の野生動物、国際的な取引など、国内外の「繁殖の協力」といった動きを、よく考えた上で行うことが、かなり重要となってくる。同園は国際的な会議に顔を出し「国内では奮闘している方だが、もっとそれを高め世界とやっていかなければ」(牧部長)