脚本、主題歌、キャスト全てがハマった… NHKドラマ『宙わたる教室』が視聴者に与えてくれたものとは? 最終話考察レビュー
窪田正孝主演のNHKドラマ『宙わたる教室』が完結を迎えた。実話に着想を得て生まれた小説を実写化した本作は、さまざまな事情を抱えた生徒たちが集まる定時制高校に赴任した理科教師・藤竹が、科学部を設立して学会発表を目指す。今回は、最終話のレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】窪田正孝はじめ、最高のキャスト陣の貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『宙わたる教室』劇中カット一覧
ピュアな原動力を与えてくれた『宙わたる教室』
一時は実験の継続すら危ぶまれた科学部だったが、藤竹(窪田正孝)が腹を割って話をしたことで再度団結し、学会で口頭発表を行う92校中の15校に選ばれた。当日登壇することになった岳人(小林虎之介)と佳純(伊東蒼)は、弁論大会で入賞経験のある英語教師の木内(田中哲司)からスピーチの指導を受ける。 「この実験の一番の売りはなんだ?」と尋ねる木内に対し、科学部の面々は重力可変装置だと迷わず回答。彼らの嬉々とした様子が伝搬するみたいに、木内は「この実験は今、世界で君たちしか知らないんだろ?」とワクワクした様子だった。 この伝搬は木内だけに留まらない。家でもスピーチの練習をしていた佳純の様子を見て、これまで距離のあった姉の円佳(伊礼姫奈)が手伝いを買って出た。佳純から科学部に入ったと聞かされたときには、「新しいことをはじめたってどうせ諦める」と苦言を呈していたが、あれはむしろ佳純を気遣っての発言だったのだろう。 そんな円佳からの「自信をもって」という言葉が、佳純にとってどれほどうれしかったか。何事も要領よくこなしていく姉と、少し時間はかかってしまうけど着実に進んでいく妹。性質の異なる2人が、楽しそうに笑い合う姿に心が洗われるようだった。 また、麻衣(紺野彩夏)をはじめとする岳人のクラスメイト達も、授業中までスピーチの練習に没頭する岳人を笑顔で見守っていた。金髪に作業着姿で周囲を威嚇し、みんなから敬遠されていたのがウソのようだ。 彼らは岳人の努力を見てきて、その頑張りを認めてもいるだろうし、変わろうと思えばいつからでも変われるのだという希望にもなっていることだろう。