給付金詐欺総額2億円に大麻所持… 国税さん、最近若手の不祥事がちょっと多くないですか?
国民の血税を徴収する国税の職員には「鉄の規律と規範」が求められてきた。ところが、コロナ禍を境にして若手職員による信じがたい不祥事が相次いでいる。一体何が原因なのか。深層に迫った。 【一覧】風俗店勤務も…!「国税若手職員事件簿リスト」 前編記事『無許可の副業で約2億円。20代職員が風俗店勤務…国税さん、最近ちょっと不祥事が多くないですか?』より続く。
確定申告書を偽造
冒頭で紹介した不祥事にしても、オンラインカジノやホストにハマってしまった件は個人の資質の問題だが、車の転売を行っていた件は、自身が勤めている組織が何をしているのか理解していれば起こらなかった、とこの幹部が続ける。 「中古車価格が高騰して転売業者が儲けていれば、国税当局は当然そこに目を付けて調査に入るため、売買に関与した人物を簡単に把握できる。そこから兼業がバレてしまうことなど、ある程度経験を積んだ国税職員なら誰でも分かっている話です。職場の上司や先輩とコミュニケーションを取らなくなったことで起きた不祥事の典型だと思います」 もうひとつ、徴税現場の風土の変化が端的に現れた重大な不祥事を紹介しよう。東京国税局管内の税務署に勤務する20代の男性職員2人が、それぞれ新型コロナウイルス対策の持続化給付金の詐取に絡んで、執行猶予付きの有罪判決を受けた事件だ。 まず、甲府税務署勤務の26歳の国税専門官Aが'20年6月、給付金の申請に必要な所得税の確定申告書を偽造するなどして、給付金を詐取した事件('20年12月に逮捕・起訴)。続いて鶴見税務署勤務の24歳の職員Bが、'20年8月に仲間6人と共謀して、大学生ら約200人の名義で総額約2億円の給付金を不正に受給し、その大半を仮想通貨投資に使った事件だ('22年6月に逮捕・起訴)。Bを犯罪に引き込んだ仲間の男は彼の幼馴染で、東京国税局の元職員だったという。 国税OB税理士は、「国税職員として身に付けた知識を悪用した許しがたい事件」として、こう述べる。 「税務の基礎知識があれば、形式的に整った確定申告書は簡単に作成できます。さらに給付金支給が申請された場合、審査担当者は確定申告書のどこをチェックするのかもわかっている。国税職員が一般人より不正受給に加担しやすい状況下にあったことはたしかです。 いまの税務署は基本的に午後5時で仕事を終えるため、超過勤務手当が付きません。Bは高卒採用の職員で、寮生活を送っていた。月給は手取りで20万円程度だったはず。おカネに不自由していたのでしょう。先輩や同僚と飲みに行く機会もないので、寮に帰ると時間は有り余っている。そんな中で、幼馴染の悪友に誘われたBは申告書を偽造してしまった。許されざる愚行です」