平成・令和の刑事ドラマは「『踊る大捜査線』の影響を受けすぎ」? 「踊る」の新作公開&過去作一挙放送が指し示す、刑事ドラマの悲喜こもごも
亀山さんは「あすなろ白書」「若者のすべて」「ロングバケーション」「ビーチボーイズ」(すべてフジテレビ系)などのヒットドラマをプロデュースしたほか、「海猿」シリーズ、「THE 有頂天ホテル」「それでもボクはやってない」「HERO」「容疑者Xの献身」などのヒット映画の製作に携わりました。 君塚さんは「心はロンリー気持ちは『…』」シリーズ(フジテレビ系)、「ずっとあなたが好きだった」「誰にも言えない」(TBS系)、「ナニワ金融道」シリーズ(フジテレビ系)、「教場」シリーズ(フジテレビ系)などの脚本を担当。
本広さんはドラマ「アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~」「SP 警視庁警備部警護課第四係」「ナンバMG5」(すべてフジテレビ系)、映画「サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS」「サマータイムマシン・ブルース」「UDON」「少林少女」、アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」(フジテレビ系)などの監督を務めました。 今秋の新作「室井慎次」のように青島以外の登場人物が主人公を務める作品も多い「踊る」シリーズは、織田さんの主演作であることと同等以上に「亀山・君塚・本広トリオの作品」と言っていいでしょう。
■刑事ドラマの定番を覆した脚本 中でも「踊る」を国民的ヒット作に導いた中心人物は、脚本を手がける君塚さん。 ラブストーリーの概念を超えた「ずっとあなたが好きだった」だけでなく、最後までジャンルのわからない作品だった「ラブコンプレックス」(フジテレビ系)、月9ドラマにロードムービーの要素を採り入れた「ホーム&アウェイ」(フジテレビ系)など、これまでドラマのジャンルや放送枠のセオリーをあえて避けるような物語を手がけてきました。
「踊る」シリーズも同様で、それまで放送されていた刑事ドラマの逆を行く、あるいは、別の楽しみ方を見せることを徹底。 しかし、「踊る」シリーズは「ずっとあなたが好きだった」の冬彦さんのような奇抜な設定や展開ではなく、あくまでリアリティを追求するという選択をしました。これこそが国民的ヒット作になったポイントでしょう。 それまでの刑事ドラマは、「主人公をはじめとするカッコイイ刑事たちが犯人を追い詰め、逮捕する」というコンセプトの物語。「主人公が犯人を逮捕するクライマックスでカタルシスを得てもらう」という形が定番化されていましたが、「踊る」は青島が犯人を逮捕するシーンはほとんどなく、本庁(警視庁)に手柄を取らせるようなシーンが目立ちました。