高校で「闇バイト」から身を守る特別授業 犯罪に巻き込まれる若者が急増
「闇バイト」は他人事?
若者が特殊詐欺などの犯罪に巻き込まれる事件が増加していることから、静岡市の通信制高校で闇バイトから身を守る方法を学ぶ特別授業が行われました。 和田佳代子記者: 「こちらの教室では夏休みを迎える前に、闇バイトの危険性や誘われたときの対処方法などを学ぶ授業が行われています」 授業を受けたのは、静岡市にある通信制静岡中央高校の生徒およそ50人です。 磯部拡美教諭: 「これ闇バイトですよって『闇』なんてつけて皆さんのところには来ませんからね」 7月から長期休みが始まり、自由な時間が増え生徒に闇バイトから身を守る方法を知ってもらおうと開かれました。 静岡県警によりますと、全国的に特殊詐欺の被害は増加傾向にあり、さらに、県内では特殊詐欺により 検挙された81人のうち少年が11人と1割以上をしめています。闇バイトを入り口として特殊詐欺犯罪に関わる少年が後を断たず、継続的に啓発活動が行われてきました。 しかし、これまで闇バイトについて「危険性を伝えて怖がらせる」という教育方法が多く、子どもたちが「自分には関係ないと他人事になりやすい」という課題がありました。
好きな人に頼まれたら…
静岡大学教育学部 学校教育講座 塩田真吾准教授: 「闇バイトに気をつけなさい」ってよく言うじゃないですか。事例があるから気をつけなさいねっていうとまぁ自分はそんなことしないしね、大丈夫だよねってなりがち」 そこで県警と学校教育に詳しい静岡大学の塩田真吾准教授は共同で教材を開発しました。それは、あえて闇バイトをやってもよいと思うのはどんな時か想像させ、自分事として捉える手法です。 生徒たちは自分が闇バイトをやってもいいと思う場合をチェックシートに記入していきます。中には荷物を受け取ってほしい、届けてほしいなど、頼まれたら簡単に引き受けてしまいそうな質問も。 事前に行った調査では「好きな人」に頼まれたら、「困っている人を助けられるから」という理由で「まぁやってもいいかな」と回答した生徒が多くいました。 静岡大学教育学部 学校教育講座 塩田真吾准教授: 「すごく意外で、やっぱりお金が欲しいとか、怖い思いをして言われたからというのが多いのかなと思ったが、特にこのくらいの年齢の子は、誰かに言われるより好きな人に誰かのためにしてあげたいから、ついついやってしまうのはあるかなと思う」 さらに、自分が望まない状況に陥った時「相談したり断ったりするスキル」を身につけることも目的としています。 石上隼世さん(18): 「好きな人とか(お願い)されたらちょっと心を許してしまうかなと思った」 鈴木結衣さん(17): 「闇バイトについて最初はニュース等で軽く知っているくらいでしたが、改めてきょう学んでみて(闇バイトが)身近に結構潜んでいるものと知りました。有意義な授業になったと思う」 静岡大学教育学部 学校教育講座 塩田真吾准教授 「自分ごととして捉えている様子が見られたのでよかった。闇バイトに携わると危ないことはわかっていると思うが、まさかこれが闇バイトに繋がるとはと思ってる子も多いのでは ないかと思う。そういうことを意識することも大切」 教材は全国の学校教育で活用される予定です。 静岡県警本部 人身安全少年課 尾藤厚至課長補佐: 「今後も警察だけでなく関係機関と協力して、いろいろな形で注意喚起・啓発活動をやっていけたらと考えている」