スマート#3 詳細データテスト クラス水準以上の動力性能 優れた基本設計 物足りない細部の仕上げ
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):1.7秒 30-50(48-80):1.9秒 40-60(64-97):2.3秒 50-70(80-113):3.0秒 60-80(97-129):3.8秒 70-90(113-145):4.8秒 80-100(129-161):5.9秒 90-110(145-177):7.7秒
制動距離
テスト条件:ウェット路面/気温8℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.8m 50-0マイル/時(80km/h):24.4m 70-0マイル/時(113km/h):45.7m 60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.60秒 ■ライバルの制動距離 ボルボEX30シングルモーター・エクステンデッドレンジ・プラス(2024年) テスト条件:乾燥路面/気温4℃ 30-0マイル/時(48km/h):8.8m 50-0マイル/時(80km/h):23.6m 70-0マイル/時(113km/h):45.9m 60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.96秒
結論 ★★★★★★★☆☆☆
もしスマート#3がコンパクトEVの水準に適合もしくは超越しているかをリスト化して、逆に欠けているもののリストと付き合わせたら、一方が得られそうなよりよい評価を、どうしたらもう一方が邪魔できるのかと考えることになるだろう。これはディテールの仕上げが、出来のいい基本的な資質を損ねているケースだ。 それでも、その細かい欠点が集まってクルマの魅力を鈍らせているのだから、ひとつひとつが小さくても看過できない。驚くほど広く、公道上で見せる動力性能は強力で、効率がよく、見栄えはこぎれいだ。 しかし、注目すべき点のいくつかで、仕上げに洗練不足が否めない。乗り心地やハンドリング、クルージングの上質さ、走行支援のチューニング、マルチメディアのデザインとレイアウトといった点だ。OTAアップデートで改善可能なものもあるが、すべてがそれで直るわけではない。 長年のスマートのファンがもっともガッカリしそうなのは、デザインがあまりにも普通で、ほとんどリスクを冒していないことだ。もっと大胆で斬新なモデルは今後出てくるのかもしれないが、それまでスマートブランドが再出発したと、どれだけのユーザーが本当に気付いているのか、そしていつスマート自身がそれを大々的に宣伝するのか、疑問に思い続けることとなりそうだ。 ■担当テスターのアドバイス ◆イリヤ・バプラート ありがたいことにスマートは、ドライバーの視界からメーター類を排除し、鷹のようにドライバーを見張るモニタリングシステムを導入しようとはしなかった。それでも、ADASを素早くオフにできる手段はほしい。 ◆マット・ソーンダース インフォテインメントディスプレイに表示されるデジタル調のチーターのキャラクターに使い道は見出せなかったが、11歳の娘はお気に召したようだ。娘が操作できれば、もっといろいろな反応をしてくれたことだろう。 ■オプション追加のアドバイス プロ+は、おすすめできる仕様のひとつだが、寒冷時の航続距離を重視するなら、ヒートポンプが備わるプレミアムを選びたい。フューチャーグリーンやクオンタムブルーといった明るいボディカラーも悪くない。 ■改善してほしいポイント ・ADASの操作メニューに素早くアクセスできるようにしてほしい。 ・スタビリティコントロールの効きはもっと控えめに。さもなければオフにできるといいのだが。 ・フロントシートのヘッドレストは、高さ調整をできるほうがいい。 ・エクステリアはもっと大胆でキャラの立ったものになるといい。
マット・ソーンダース(執筆) イリヤ・バプラート(執筆) ジャック・ハリソン(撮影) 関耕一郎(翻訳)