スマート#3 詳細データテスト クラス水準以上の動力性能 優れた基本設計 物足りない細部の仕上げ
快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
スマートが#3に用意するホイールは、グレードによって19インチか20インチ。テストしたプレミアムに装着されるのは19インチで、静粛性の点で弁解はできない。 実際、路面がよければ、乗り心地は少なくともライバルと競えるくらい穏やかで落ち着いたもの。しかし、鋭い入力を受けるとはっきり衝撃と音が出る。玉石や割れたアスファルトなどの荒れた道では、ステアリングコラムや助手席側のドアコンソールから高周波の振動音が聞こえる。 湿っぽくてやや風の強い中で計測した車内騒音は、NVH対策をもっとすればよかったのに、と思わされるものだった。80km/hで66dBAという結果は、フォルクスワーゲンID3の64dBAやフィアット600eの63dBAに後れをとっている。それでも、出来が悪いというにはほど遠い。 小さな欠点を別にすれば。フロントシートは長距離乗ってもまずまず快適。視認性は、前方と側方は良好だが、肩越しはスロープのついたルーフによって、Cピラーあたりに死角が生まれている。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
#1と同じく、スマートは購入プロセスのシンプル化を目指し、わかりやすいグレード展開と魅力的な価格、オプション追加不要な充実装備を提供する。エントリーレベルのプロでも、LEDヘッドライトや19インチホイール、全面パーキングカメラやパワーテールゲートが備わる。有償オプションは、マットペイントくらいだ。 航続距離や効率、急速充電性能は、競争力のある数字を示したが、並外れたものではない。公称値は過大評価になりがちだが、25%以上の差というのは小さくない。それでも、ボルボEX30には、どの点でも勝っている。
レイアウト
プラットフォームはジーリーのEV専用コンポーネントであるSEAで、これはボルボEX30などと共用。主駆動モーターはリア置きで、床下搭載のバッテリーは、仕様によりニッケル・マンガン・コバルトとリン酸鉄リチウムの2タイプを使い分ける。 サスペンションは四輪独立。前後重量配分は49:51で、EX30の48:52よりわずかながら等分に近づいている。