インパクトありすぎ…『相棒』シリーズ初期で印象的だった名作エピソード
■薫の元教育係が悪徳警官だった…Season5の15話「裏切者」
薫にとってはつらすぎる結末が描かれるSeason5の15話「裏切者」。このエピソードは悪徳警官をめぐる社会派のエピソードで、鬱展開ともいえるバッドエンドとなっている。 ある日、主婦がモデルガンの改造銃で射殺されるという事件が発生する。特命係は容疑者をピックアップし、過去にその人物を送検した池波署の組織犯罪対策課を訪ねた。 そこには、薫とかかわりが深い北村課長がいた。かつての教育係だったこともあり、薫と右京は北村とともに事件を検証していく。しかし、その中で池波署の捜査費流用の疑いが出てきてしまう。徐々に真相に近づく特命係だったが、そんな状況下で薫が謎の集団に襲撃され、入院するほどの重傷を負ってしまうのだ。 このエピソードで衝撃的だったのは、北村が悪徳警官の一味だったことだ。薫を襲った集団も彼の部下たちだった。特命係が署の不正を暴こうとしていると気付き、なんとか阻止しようとした結果、襲撃につながってしまったのである。 薫と、彼の病室を訪れた北村の対話は印象的だ。幼い娘のため警察をやめるわけにはいかないと話す北村に、“被害者にも同じくらいの娘さんがいた”と涙ながらに訴えかける薫。それに対し、北村は“もうどうしていいかわからない”と苦しみを吐露する。北村もまた、警察という巨大な組織に従わざるを得なかった犠牲者だったのだ。 このエピソードでは、絶大な信頼を置いていた元上司を告発せざるを得ない薫の様子が痛々しい。最後は池波署が処分を受け物語は終了するものの、薫の心情を考えるとやりきれない気持ちになってしまった……。 『相棒』は社会派のテーマも扱う本格刑事ドラマだが、シリーズ初期では今以上にショッキングな内容も多かった。 中には後味の悪い回もあるが、そういったものほど視聴者の心に強い印象を残し、長い間語り継がれることになる。そんなエピソードの数々を見ると、長年続いている『相棒』シリーズの奥深さが分かるだろう。
スパロウ