マリナーズ菊池の故障防止目的の異例オープナー起用を米メディアも好意的に評価
マリナーズの菊池雄星(27)が26日(日本時間27日)本拠地シアトルで行われたレンジャーズ戦にオープナーとして1イニング限定で先発し、その1イニングをわずか9球で2連続三振を含む三者凡退に抑えた。当然、菊池には勝ち負けはつかないが、試合は、8投手をつないだマリナーズが延長11回にサヨナラ勝ちを収めた。菊池はマリナーズと契約を結んだ際、肩に不安があることから、メジャー入団後、大きな故障へ発展することを防止するために定期的に投球回数を短縮させる起用を行うことが契約に盛り込まれていた。ここまで3試合、中4日登板が続き、今季自己最多の97球を投げて初勝利をマークした20日のエンゼルス戦後には、中5日で次戦はオープナー起用される方針が明らかにされていた。 本来、オープナーには、ストッパーやセットアッパーをローテーの谷間や立ち上がり不安、相手の上位打線に相性の悪い先発が登板する際に1イニング限定で使うもので、先発投手がオープナーに起用されるのは異例。しかも、その理由が肩への負担軽減という新しい取り組みだったが、米国のメディアは、このマリナーズの挑戦を好意的に受け止めた。 タコマ・ニューストリビューン紙は、「日本人のルーキー左腕、菊池は、2回からシェフィールドが投げることが予定されていた試合で短縮された先発の1イニングを投げ、オープナーとしての役割をこなした。菊池は1イニングに、わずか9球を投げて三者凡退。オドールとエルビス・アンドラスを三振に打ち取った」と登板内容を伝え、「菊池の短い先発は、ほとんどの大リーグ球団が慣行する5日に一度のローテーションに彼が適応するのを助けるためマリナーズが描いたシーズンを通しての試みの1部となる。菊池が過去8シーズンを過ごした日本では、先発投手は1週間に1度しか投げないからだ」と説明。懐疑的な意見は記さなかった。 メジャーの公式サイトも「菊池がサヨナラ勝ちの試合で短縮された先発を果たす」との見出しを取り、「マリナーズが行った菊池の『短縮された先発』の計画が、恩恵をもたらすことが証明されるのは、これから何か月先か、実際には、1年か2年先になるだろう。だが、レンジャーズを相手した金曜日の夜、菊池の計画の第1章は少なくとも短期的に機能した。シアトルはテキサスを5-4で破った」と伝えた。 記事は「マリナーズが12月に菊池と契約したとき、27歳のFA選手(の菊池)が、メジャーでの最初のシーズンに、日本で慣れていた1週間に1度の先発から移行するにあたり、彼の負担をコントロールするために約1カ月に1度は、1イニングの投球に限定させるプログラムを明かしていた」と紹介。「この考えはメジャーリーグに移籍する日本投手の多くが、しばしば腕に問題を抱えることを受け、長期的に菊池の健康を保つことを目的にしている」と説明を加えた。 そして「マリナーズの視点からより重要なことは、彼がメジャーでの1年目のシーズンと、その先のシーズンで、より力強く、長く投げ続けるためにより良い状態になれるということだ」と、この取り組みを好意的に支持した。