大谷翔平（AP）

◇20日（日本時間21日）　リーグ優勝決定シリーズ第6戦　ドジャース10―5メッツ（ロサンゼルス） ◆大谷翔平の妻・真美子さん、ドジャースのリーグ優勝に歓喜【写真複数】 　大谷翔平選手と山本由伸投手が所属するドジャースがメッツに勝ち、対戦成績を4勝2敗として4年ぶりのリーグ優勝を果たしてワールドシリーズ（WS）進出を決めた。「1番・指名打者」で出場した大谷は4打数2安打、1打点、1四球で、球団新記録となる単一シリーズ17出塁も達成した。 　岩手・花巻東高時代、目標シートに書いた言葉は「2020年　ドジャースワールドシリーズ制覇」。4年遅れではあるが、大谷がメジャー7年目、30歳の節目で目標の舞台に辿り着いた。昨年のこの時期は右肘の靱帯再建術でリハビリ中。寂しい秋は、1年で実りの秋に変わった。「手術したりとか、去年はいろいろあったが、1年でここまでこられた。あともう少し。最後まで駆け抜けたい」。珍しく過去を振り返るほど嬉しく、長い道のりだった。 　勝てばワールドシリーズ進出が決まるメッツとの第6戦。相手先発は第2戦で3打席凡退と完璧に封じられた変則左腕マナイアだった。だが、同じ轍は踏まない。1点を先制された1回。一塁側にインステップして横手で投げる左腕の外のシンカーを、バットを伸ばして中堅に弾き返した。 　決して大谷らしい豪快なスイングではないが、バットに是が非でも当てるという意地の軽打。この1本がマナイア攻略の足掛かりとなった。「チームとして流れを戻せるような仕事がしたいと思っていた」。その後、エドマンの2点二塁打で逆転。3回は味方の2本のアーチでマナイアを引きずり降ろした。6回にも貴重な追加点となる中前適時打を放ち、追いすがるメッツの反撃ムードをそいだ。 　試合後、マウンドの歓喜の輪にゆっくり加わると、フリーマン、ベッツらと抱き合って喜びを分かち合った。グラウンドでのインタビューで語ったのは、WSへの思いだ。「僕がずっと出たい、プレーしたいと思っていた場所。この瞬間からそこを目指して、勝つだけだと思って切り替えて頑張る」とファンに宣言した。 　相手はメジャー最多27回の優勝を誇るヤンキース。ファン待望の東西の名門対決が1981年以来、43年ぶりに実現した。ヤンキースにはジャッジ、ソト、スタントンら、ドジャースと同じスターが揃う。子供の頃からピンストライプのユニホーム見ていた大谷は「本当に強いチーム。ジャッジ選手は素晴らしいが、他にも素晴らしい選手が多い。全員で立ち向かわないと勝てない」と力を込めた。 　エンゼルス時代は一度も味わえなかったシャンパンの美酒の味を、今年は3度も味わった。仲間に何度もシャンパンやビールを浴びせられ、自身も嬉しそうにかけまくった。びしょぬれになりながら、喜びを噛み締めてこう言った。「あともう1回これをやって今年を終えたい」。開幕前に「優勝以外は失敗」と言い切った男に、頂点を目指す最高峰の場が用意された。 （写真はAP）