稲見萌寧のパッティングコーチ小暮広海が見た「米LPGAとJLPGAの違い」と「稲見萌寧の可能性」
2023年「TOTOジャパンクラシック」で優勝した稲見萌寧。その資格で2024年は米LPGAに参戦しているが、米国挑戦を後押しした「チーム稲見」の一人・小暮広海パッティングコーチにフロリダで行われた2戦の振り返りと“稲見の可能性”を聞いた。
グリーン攻略には経験を積むことが必須
「みんゴル」読者、および稲見萌寧ファンであれば、当サイトで2024年米LPGAツアーの開幕戦と第2戦の前に稲見のコーチである柳橋章徳氏に、開催コースの特徴や稲見プロの近況を聞いた記事を確認いただいているだろう。取材者として、2回とも印象に残っているのは「練習ラウンドをしていて、萌寧の調子、とくにショットは良いと思う。あとはパッティングがあえば!」という言葉だ。柳橋コーチは基本、スウィングがメインなので、「パッティング」の重責を担っているのは、橋本真和コーチ、小暮広海コーチ、須藤大和コーチと3人いるパッティングコーチ陣だ。なかでも、英語も話せて、同年代の女性でもあるため、一番身近にいるのが今回話を聞いた小暮コーチになる。 まず初戦と2戦目から得た米LPGAツアーの印象を聞くと、「柳橋コーチも話していましたが、グリーンは日本の芝質とかなり異なり、また細かな傾斜が入り組んでいて、どこからカップを狙っても“スネークライン”になっているイメージです。また、初戦の会場であるレークノナG&CCは日本のトーナメントクオリティで整備されていたのに対し、第2戦のブレイデントンCCは河川敷グリーンという印象です。それでもグリーンスピードだけはどちらも10.5~11.5フィートくらいはある。とくに第2戦は風も強かったので、地面が乾いてグリーンは締まっている状態だったので萌寧さんをはじめ選手は大変な様子でした。同じフロリダでもこれだけ違うので、米LPGAツアーのグリーン攻略にはある程度の“経験”が必要だと感じました。やはり何年も米LPGAツアーで戦っている選手はグリーンに合ったストロークをしてきますので。この理由からJLPGAツアーでやっている選手が、スポットで米LPGAツアーに出ても苦しむのはすごく理解できました。 とはいえ、1年目から何とかしなければならないのも事実。第2戦の最終日はボールへのエネルギーの与え方を少し変えてもらいました。それでバーディが5つ取れて8位フィニッシュにも繋がったのではないかと思います。あとは、コース毎の芝質などを前もって調べておいて、日本国内で似たような状況のグリーンを探して、そこで練習することも考えています。でも、そう簡単には見つからなそうですが……」と語る。米LPGAツアーのグリーン攻略に向けて、実行できる環境を整えるにはもう少しかかりそうだが、手法が見えているのは朗報だろう。