個人投資家が日本株買い積極化か、「反応関数」変化-NISA効果も
もちろん、たった9週間のデータをもってトレンドが変わったと断定的に言えるわけではない。年初に1兆円を超える大量の売りを出した後で、売り過ぎたポジションを再構築しているに過ぎないと解釈することも可能だろう。
とはいえ、日本株が底打ちした09年から昨年までの15年間のうち12年で個人は日本株を売り越しており、合計の売越額は38兆円に及ぶ。もし個人のスタンスが変わったとすれば、市場の需給構造に与える影響は少なくない。
ニッセイ基礎研究所の前山裕亮主任研究員は「新NISAの影響は無視できないだろう。これまでより確実に買いが入りやすくなっている」と指摘。前山氏は、逆張り傾向は変わらないものの3月第2週に日経平均が4万円の大台を割り込んだ局面ではしっかりとした買いが入ったことに注目し、「足元の株価上昇には半信半疑ながら、買いの目線が切り上がってきているようだ」との見方を示した。
BofA証券の圷氏も、以前のデフレ的な環境では名目国内総生産(GDP)はほぼ横ばいで企業収益の伸びも限られたことから、景気が良く相場が上がった局面では株を売るという行動パターンにそれなりに合理性があった、と話す。その上で「インフレが定着する世界になれば企業業績は上昇しやすく、従って株価も上昇しやすい」として、インフレ動向が鍵を握るとの考えを示した。
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Hideyuki Sano