「企業のエシカル通信簿」、ファストリの高評価が際立つ: オンワードやTSIは低評価
■「SBT認証は取得したが、ネット・ゼロ方針なし」
[社会・社会貢献] ・NGO/NPOとの対話の場は4社があり、6社が社会全体で課題解決の啓発を実施している。 ・オンワードは衣料品循環システムの構築を目指す活動「オンワード・グリーン・キャンペーン」を実施、ユナイテッドアローズは国連貿易開発会議(UNCTAD)らとともに「Ethical Fashion Initiative」を立ち上げ困難な経済・社会状況下にある女性にトレーニングを行い、オリジナル企画商品の販売を行っている。 [平和・非暴力] ・平和・非暴力に関する方針や計画を持つ企業はなかった ・紛争地域に関わる調達方針は1社だけだった ・全体として平和・非暴力への意識が低い [アニマルウェルフェア] ・2016年調査と比べ、 認証を利用する企業が増えた ・リサイクルダウンやヴィーガンレザーを利用する取り組みが目立った ・取り組みの進む企業は、動物の福祉の問題をはらむ素材から離れる傾向が見られた ・全体としてアニマルフリーを目指すものの、「ポリシー化」する企業は少ない [環境] ・環境コミュニケーションについては、CSR担当部署と合同の部署があるのは8社だが、専任役員がいる企業は2社にとどまった。報告書については、CSR報告書と環境報告書を合わせたものの作成が4社、データブックなどにとどまるのが3社であった。各環境の課題に対し、現状把握・目標・取組みがわかる内容が求められる。 ・EMSによるPDCAサイクルを回しているのは3社にとどまった。サプライチェーンへの推奨も3社にとどまった。監査については内部監査が3社、外部監査が4社が実施していた。全社員を対象とした環境研修は、どの企業も行われていなかった ・社内で取り組みをしていても、方針が公表されていないため、評価(加点)できない企業があった。(例)SBT認証を取得しているが、「ネット・ゼロに関する方針を公表していない」 ・特にネット・ゼロについて、消費者に向けた情報開示が乏しい一方で、投資家に向けたTCFDへは9社が賛同していた。環境への配慮ができていても、企業側が認識不足により、自社を正しく評価していない場合があった ◆ SSRCはSDGs(持続可能な開発目標)の成立直後である2016年1月に発足した。環境・人権・消費者・アニマルウェルフェアなどの分野を専門にする全国38の市民団体が参画し、「企業のエシカル通信簿」などの企業調査や情報発信、セミナーを開くなどしている。 特にSDGsのゴール12「「持続可能な消費と生産(つくる責任 つかう責任)」や、ゴール17「持続可能な生産消費/パートナーシップ」をベースとして持続可能な消費を「エシカル消費」と位置づけた。その実現のために1)意識改革と教育を通じて消費者を巻き込む 2)基準とラベルを示して、消費者に適切な情報を提供するよう努めている。 SSRCはエシカル消費について、具体的には「フェアトレード製品」「省エネ性能の優れた製品」「再エネ電力会社」「有機、MSC、FSC製品」「CSR活動に熱心な企業」「人権や労働者を大切にする企業」などを消費者が意識的に選ぶこととした。