今の日本、60歳で定年退職も可能ですか?無職世帯の支出平均額から考える
60歳での退職に向けてできることは?
公務員や大企業の会社員などのように、誰しもが多くの退職金を受け取れるわけではありません。 退職金が少ない場合や、年金の受給額が少ない場合は、老後までにいかに多くの金融資産を築けるかが重要です。 ただし、低金利の預貯金では資産を増やすのが難しいため、投資による資産形成も視野に入れて考えてみましょう。 ●NISA(少額投資非課税制度)で積立投資 積立投資は、株式や投資信託などの金融商品を毎月一定額ずつ積み立てていく方法です。 積立期間が長ければ長いほど安定した運用成果を得られる可能性があり、NISAを活用すれば運用益が非課税となります。 預貯金とは違って元本割れのリスクが伴いますが、物価の上昇によってお金の価値が低下している状況を鑑みれば、投資で運用益を得ることの重要性は高いと言えます。 ●iDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCoは、公的年金に上乗せする形で加入する私的年金です。投資信託や保険、定期預金などから拠出する商品を選び、毎月一定額ずつ積み立てていきます。 NISAと同様に、iDeCoで得た運用益は非課税となります。また、掛金全額が所得控除の対象となり、受取時にも税制優遇措置があります。 将来受け取れる金額は運用結果によって異なり、原則60歳以降に年金または一時金として受け取ることが可能です。 公的年金の見込み受給額が少ない場合、iDeCoでの上乗せも検討してみましょう。
まとめにかえて
今回解説したように、60歳で退職するのは非現実的なことではありません。 ただし、そのためには十分な貯蓄が必要となるので、計画的に準備を進めておく必要があるでしょう。 資金が不足すると考えられる場合は、60歳以降も働いて収入を得つつ、厚生年金の受給額を増やすのも選択肢の一つです。 退職金や企業年金はどのくらい受け取れるのか、老後の支出はどのくらいなのかなど、より具体的な金額から逆算し、適切なマネープランを立てていきましょう。
参考資料
・厚生労働省「令和4年就労条件総合調査 結果の概況」 ・総務省「家計調査 / 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」 ・厚生労働省「令和5年就労条件総合調査概況」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
加藤 聖人