「ミスが多く期日を守れない」部下への対応のコツ 発達障害グレーゾーンの人の働きにくさを解決
上司の伝え方にも問題があった可能性があり、Qさんとの人間関係がギクシャクしてしまったことについても、なにが原因だったのかきちんと考える必要がありそうです。 【発達障害グレーゾーンに気づき、対応するプロセスとは】 Qさんの上司は彼女が発達障害ではないかと疑いましたが、実際にはどうなのでしょうか。 少なくとも、発達障害という診断がつくのは医師の診察しかないため、筆者が答えを出すことはできません。ただ、別部署からQさんに関するクレームが正式にきていることは事実であり、相談にきた上司はもちろん、Qさん自身もどうしたらいいか困っている可能性が高いと感じました。
そのため、筆者はQさん本人のカウンセリングもすることになりました。 ■発達障害かどうかではなく、困りごとがあるかどうか 上司には、Qさんが「発達障害かどうか」ではなく、どうすれば「困りごと」を解決できるかについて一緒に考えましょうと提案しました。 まず、「書類作成を何度もミスすること」についての改善案は、次のようなことが考えられます。 ・提出前に部署の誰かが書類のチェックをする ・ミスや漏れにつながりそうな項目をリストアップし、チェックシートを作成する
続いて、「提出期限を守れないこと」への改善案です。 ・Qさんの業務の進捗表を部署内で共有し、提出期限が近い頃に同僚が声がけをする ・期日前にアラームをセットし、忘れることを防ぐように工夫する ほかにもいろいろな方法があると思いますが、職場で現実的にできることを考えていく必要があります。たとえば、フォローのために上司を含む誰かに大きな負担がかかるような対策をとることは、なるべく避けるべきでしょう。 ■改善策を考える際に留意すること
このような改善案を上司からQさんに提案してもらうことになりますが、その際の留意点には次のようなものがあります。 ・具体的な「困りごと」を事例性に基づいて上司とQさんで共有する ・指導するというようなスタンスではなく、本人の悩みに寄り添うことを意識する ・「○○ができていないですね」というようなネガティブな言い回しを避け、具体的な改善案を示して「○○してみたらどうでしょう?」などという言い方で聞いてみる。上司からの改善案自体が本人の負担にならないか、押しつけるような形になっていないかを確認することが必要