数で押し切る「平成の自民政治」が終わった…来年の国会は予算案から大荒れ、現実味帯びる参院選後の「ねじれ国会」
■ 来年の通常国会は新年度予算案から荒れる 自民党は2010年綱領でそれまでの綱領における「国民政党」から「保守政党」に看板をかけかえた(「わが党は、国民政党である」⇒「我が党は常に進歩を目指す保守政党である」)。 名実ともに保守化した自民党だが、選択的夫婦別姓や同性婚法制化等のように保守層を刺激し、自民党内でも意見が分かれる喫緊の政策主題は少なくない。もちろん野党はこうした法案の成立を迫るのではないか。 いずれにしても、来年の通常国会は予算成立からして荒れることが目されるし、それぞれの法案審議となるとなおさらだ。 スケジュール通り、法案を通すことが難しくなることも予想される。法案が通らないとなると、一般に政府与党の失敗とみなされる。 また政治改革が不十分であることなども、しこりとなりつづけるはずだ。改正政治資金規正法の附則に含まれながら具体化がはっきりとしない政治資金を監督する第三者機関の在り方をはじめ、長く議論の俎上にあがってきた政党を定義する政党法なども含めてさらなる政治改革も避けては通れまい。 政権と自民党にとってはボディブローのようにダメージを蓄積させ続けるのではないか。 来年の夏には参院選と東京都議会選が控えている。さすがにこの短期間で、自民党総裁選から総選挙までの一連の出来事や自民党の振る舞いを国民が完全に忘れるとは思えない。 例えば、石破総理が総裁選での前言を撤回して、早期解散に踏み切ったことや自民党の2000万円問題である。相当に厳しい結果になるのではないか。
■ 参院選後のねじれ国会もありえる 負け方によっては、参院選後のねじれ国会もありえるのではないか。ただでさえ難しい、与党で過半数割れの状態だけに政権運営は時間が経てば経つほど厳しさを増すように思われる。 衆参同日選挙や、普通に考えても来年後半から再来年にかけてのそれほど遠くない時期に再度の総選挙と政権交代が現実味を帯びてくるかもしれない。 ただし、今のところそれらは主に自民党不信、既存政党不信に起因する消極的な動機づけによる「消極的政権交代」というべきシナリオであって、野党の政権担当能力が国民から幅広く信頼される「積極的政権交代」ではなさそうだ。 野党に「積極的政権交代」の準備ができているかといえば相当心許ない。 国民の関心の高い経済政策や社会保障改革なども野党間の隔たりが大きいのみならず、立憲民主党の主張すら明確にならないままだからだ。 筆者はいくつかの機会に立憲民主党の国会議員らに、消費税を上げるのか、現状維持か、下げるのかというごくシンプルな問いを投げてきたが、どうにもはっきりしない。 人によって言うことが違いすぎるのだ。野党の政権担当能力と信頼向上を大前提に、「積極的政権交代」のシナリオを提示すべきだ。