日産経営危機再燃、山積課題に相次ぐ判断ミス-経営責任問う声も
大失敗
世界の自動車メーカーを悩ませている電動化への対応でも誤算が重なった。
米国市場では電気自動車が減速する一方、ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車の需要が高まっており、内田氏は「現在こうしたラインアップを持っていない当社は苦戦を強いられている」と述べた。アナリストも電動車投入の遅れに対して厳しく批判している。
日産は同社独自のHV技術「e-POWER(イーパワー)」搭載車を「米国でもっと早く発売すべきだった」と英調査会社ペラム・スミザーズ・アソシエイツのアナリスト、ジュリー・ブート氏は指摘する。同氏は日産がイーパワー搭載車を22年に欧州に導入した際に「米国で同時に行われないと聞いて驚いた。これは経営上の大失敗だった」との見方を示した。
日産は需要増を受け、従来は27年3月期中としていた米国へのイーパワー投入について時期を数カ月前倒しすべく取り組んでいるものの、来期中の導入は「正直できない」としており、当面は旧来のガソリン車頼みが続くことになる。
ブート氏は、日産が目先で投入を予定するのはSUV「ムラーノ」など販売台数の少ないモデルであることを踏まえると「日産が今後1年半の間に米国での販売を改善できる可能性は低い」と言及。「この2年間で多くの過ちが犯されており、解決には別の経営陣が必要かもしれない」と述べた。
カルロス・ゴーン元会長はかつて、資産売却やサプライヤーとの取引見直しなどを通じて日産の「リバイバル」を図った。日産は再びコスト削減による立て直し策を打ち出すが、詳細は明らかになっておらず、計画の有効性を評価するのは難しい。
90年代にはコストカットは容易な選択肢だったが、今回はそれでは難しいかもしれないと、アシンメトリー・アドバイザーズの日本株ストラテジストであるアミール・アンヴァルザデ氏は指摘する。「本当に全てが終わってしまうかもしれない」と同氏は続けた。
--取材協力:田村康剛.
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Tsuyoshi Inajima, Nicholas Takahashi