飛び出た超新星!17歳宇野がSPで3位発進。表彰台の可能性と成長度
全日本フィギュアスケート選手権が12月26日に長野・ビッグハットで開幕し、男子シングルのショートプログラム(SP)で17歳の宇野昌磨(中京大中京2年)が自己ベストとなる85・53点をマークし、3位につけた。 首位の羽生結弦(ANA)の94・36点、2位の町田樹(関大)の90・16点には及ばなかったが、今シーズンのNHK杯を制した村上大介(陽進堂)、スケートカナダを制した無良崇人(HIROTA)、バンクーバー五輪8位の小塚崇彦(トヨタ自動車)といったシニアの実力者たちを押さえての堂々たる上位発進。 3回転アクセル、4回転トゥーループ、3回転フリップ+3回転トゥーループのコンビネーションジャンプをすべて着氷した超新星の誕生に、満員の会場は総立ちで拍手を送った。 今月中旬にスペインで行われたジュニアGPファイナルでは、フリーと総合のジュニア世界歴代最高得点を出して圧勝。2009年の羽生以来5年ぶり3人目の優勝を果たした勢いは、さらに加速度を増している様子だ。成長著しい17歳。宇野はどこまで伸びていくのだろうか。 4,024人のスタンディングオベーションを呼び起こした演技は、技術も表現力も申し分のないものだった。 冒頭にイーグルからのトリプルアクセルを決めると、続いてのジャンプは、ジュニアの大会では規定によりSPに組み込むことが許されていない4回転トゥーループ。スペインからの帰国後に繰り返して行った通し練習でも「4回転がなければミスなくできるけど、4回転を入れるだけで通せる確率がかなり下がってしまう。ノーミスは難しいかな」と、一抹の不安を口にしていた。 だが、今シーズン急成長を遂げている若武者にとって、それは杞憂だった。SP後の取材エリアでは、「練習通り、特に問題なく最後まで滑りきることができたが、満足という気持ちはない。自分の中では当たり前だと思っている」とサラリと言った。体力は十分についていた。 反省もある。まずは冒頭のトリプルアクセルで回転不足になったこと。そして、表現の部分で持てる力を100%発揮することができなかった点だ。 「最初のジャンプは、跳んだ瞬間に自分でちょっと低いと感じたし、回転不足かマイナスがついていると思った。ジャンプのことを考えるあまり、スピンや表現の部分でも満足いくものではなかったので、それが心残り。得点はすごく良い点数をもらえてうれしいが、まだまだやれることをやればもっと出せると思う。自分では50点の出来」と笑顔を封印した。自分に厳しい姿勢は、世界のトップへ向かっていこうとする選手が共通して持っている資質だ。