ナイキ「厚底シューズ」全面使用禁止ならずの見通しも第三世代シューズ「アルファフライ」の扱いを巡って是非論
世界陸上連盟による、ナイキの厚底シューズ使用禁止の決定が見送られる見通しとなった。英国の高級紙ガーディアンが報じたもので、31日(日本時間1日)に世界陸連が見解を発表する予定だが、現在主流のナイキの「ズームX ヴェイパーフライネクスト%」の使用は禁止されず、東京五輪が終わるまで、新たなるシューズ技術だけが一時停止される方向だという。そこで問題になるのが、「アルファフライ」と呼ばれる第三代世代シューズの扱いだ。 すでに男子マラソンの世界記録保持者、エリウド・キプチョゲ(ケニア)が、昨年10月、試作品段階の「アルファフライ」を使用して2時間切りに挑戦する非公式レースで1時間59分40秒をマークした。 この「アルファフライ」は、「ズームX ヴェイパーフライネクスト%」より、さらに靴底の厚みが増し、反発力を高めるために内蔵されたグラスファイバー製のプレートも強固なものに変えられているという。来月、米国では、東京五輪のマラソン代表を決める一発選考レースが行われるが、そこには、この「アルファフライ」を導入する選手が続出すると見られており、この第三世代シューズが一時停止対象の技術とされるか、どうかに注目が集まっている。 「厚底シューズ禁止」の第一報を報じていた英国のテレグラフ紙は、「ナイキのヴェイパーフライシューズは禁止されない」と、ガーディアン紙の報道を後追いした上で、「だが次のバージョンが禁止されなければ、スポーツの完全性が危険にさらされる」と、第三世代シューズは禁止にすべきだとの論陣を張った。 ナイキの厚底シューズは、2016年に「ヴェイパーフライ4%」が発表され、昨年「ヴェイパーフライネクスト%」に進化。マラソンで3時間を切ったランナーの実に40%以上が、このどちらかのシューズを使用していたという。 同紙は、「飛距離を伸ばすゴルフクラブ、速度を上げるフォーミュラ1の車、雪上でカーブの曲がりをよくするスキーのように、ナイキは、利用できる技術をライバル社よりもうまくシューズに取り付けた。ポール・テルガトは、2003年にマラソンの世界記録を破ったときにカーボンプレートの入ったフィラ製のシューズを履いていたし、さまざまなランニングシューズにもナイキのヴェイパーフライタイプと、同様の厚さのフォームが入っている。ナイキは、カーボンプレートを曲げ、さらに反発力のあるフォームを見出し、それを一緒に組み合わせる方法を見つけ出しただけだ。昨年、50マイル(約80キロ)の世界記録は、他社のカーボンプレートを利用した最新のシューズで破られている。何も、この工夫をしたシューズは、ナイキ1社だけの話ということでもない」と、商品化されている2種類のナイキ製の厚底シューズは「禁止にすべきではない」との主張を展開。