ナイキ「厚底シューズ」全面使用禁止ならずの見通しも第三世代シューズ「アルファフライ」の扱いを巡って是非論
その上で「世界陸連がルールで決めている『不公平な補助、もしくは優位性になるか』をどこに適用するかが問題だ。人生は公平なものではないが、スポーツはそうあるべき。問題は、この特別なシューズがいつその境界線を越えるのかという点。それはナイキがヴェイパーフライ4%シューズを発表した2016年と言う人もいれば、革命的な流れの第三世代シューズのアルファフライが一般発売される準備の進められている今だと言う人もいる。またその瞬間はまだ訪れていないと言う人もいる」と問題提起した。 同紙は、注目の第三世代シューズ「アルファフライ」については、「すべての開発競争には境界線があるべきで、アルファフライは中のプラットフォームを大きくして、”シューズからバネへ”急速に傾いてしまった。(アルファフライは)やりすぎで、このシューズによる補助は“不公平な”領域に触れてしまっている」と指摘。第三世代シューズは禁止すべきだ、との意見を主張した。今後は、第三世代シューズの扱いについての是非論がさらに沸騰しそうだ。 ちなみにナイキ社は「世界陸連と、そのルールに敬意を示し、ランナーが消費するよりも多くのエネルギーをもたらすシューズを製造することはしない」との声明を発表している。 またNBCスポーツは、たとえ第三世代シューズが禁止になったとしても、今回の一連の騒動は、ナイキ社の売り上げ促進につながっているという面白い見解を経済マーケット市場の観点から示した。 スポーツ産業を分析するNPDグループのマット・パウエル氏の「こういう論議は、時として商品の売り上げを伸ばすことがある。もし世界陸連がシューズを禁止する判断を下せば、その前代未聞の動きは、ナイキにとって勝利となる」という見解を紹介。リセールサイトの「StockX」では最高値3661ドル(約40万円)でさまざまなヴェイパーフライモデルが売られていることを伝えた。 NBAは、1980年代に規約で白以外のシューズ着用が禁止だったにも関わらず、赤と黒のナイキシューズ「エアジョーダン」を着用したマイケル・ジョーダン氏に罰金を強いたが、これが「エアジョーダン」の人気爆発につながったという例がある。パウエル氏は、「あの罰金騒動が30億ドル(約3270億円)のエアジョーダンのビジネスにつながった」と広告効果を指摘、今回の騒動に重ねた。 東京五輪を前に、世界中を巻き込んで大騒動に発展したナイキの「厚底シューズ問題」。果たして31日に世界陸連は、どんな発表を行うのか。注目が集まっている。