岡山から、新たな野球の可能性を追い求めるショウワコーポレーション
「トラックマン」を導入
今年、ショウワコーポレーションは、弾道計測器「トラックマン」を購入した。「トラックマン」は、「パトリオット」などミサイルの追尾システムを応用し、投球、打球の軌道や回転数などをオンタイムで計測し、データ化することができる。 同様の機器に「ラプソード」がある。「ラプソード」も同様にボールの軌道や回転数などを計測してデータ化できるが「ラプソード」は基本的に「投手と捕手の間」に設置するため、ブルペンなどでの練習用で、試合では原則として使用されていない。 しかし「トラックマン」は、バックネット裏から計測できるので、試合や試合形式の練習でも使うことができる。 ただし「ラプソード」は数十万円程度から購入できるが、「トラックマン」は数百万円以上と非常に高価だ。 しかし、長友氏はチームの将来を考え、ショウワコーポレーションとして「トラックマン」の購入を決めた。 そして、この先進の機器を「トラックマン」野球部門の責任者である星川太輔氏から購入。また打者でのデータの測定用にバットのグリップに装着する「ブラスト」も購入した。 ただ、こうした先進の機器は「ただ持っている」だけでは、意味がない。使いこなしてデータを解析してプレーに役立てる必要がある。 そこでこの機器を使いこなすために、星川氏から立命館大学大学院生で、学生アナリストとして活躍する田原鷹優氏を紹介された。 田原氏は、3か月間、定期的にショウワコーポレーションに出向いて、機器の使い方、データの見方などを亀澤監督をはじめ、コーチ、選手にレクチャーした。 「すごく理解が早くて、データを有効に活用してくれる。亀澤監督も『こうすればいいんじゃないか』と一緒に考えてくれる。すごくいい環境だと思います」田原氏は語る。
大企業を越えたデータ化
社会人野球では大企業傘下であっても、先進機器を全く使っていないチームがある。そうした知識も持たず、昔ながらの練習を続けているチームもある。 データ野球を導入しているチームでも「ラプソード」が大部分で、「トラックマン」を使用しているのは、ごく少数の大企業チームだ。 そんな中でショウワコーポレーションは、革新的だと言える。 長友氏は語る。 「僕は、チームを支援してくださるスポンサー集めもしますし、プロへの選手の輩出へ向けて優秀な選手もスカウトします。地元美作市も室内練習場を使わせていただくなどのご支援をいただいています。企業と、チームと、地元のご支援があって成り立っています。 チームは社会人野球のクラブチームですが、僕の認識としては独立リーグのチームみたいな感覚もあります。自分たちの力で勝って、いい選手を送り出して、アピールしていきたい」 長友氏は少年野球の岡山中央ポニーリーグ、ライオンズ岡山ポニーも運営している。
「野球好き」のマインドで
社会人野球は、企業チームが減少する傾向にあり、ドラフトでの選手指名で独立リーグに負けるなど厳しい環境が続いている。 こうした状況に風穴を開けるのは、前例にとらわれず積極果敢に活動するショウワコーポレーションのような、新興チームだ。彼らは何より「野球好き」でもある。 今後の活躍に注目したい。