安倍晴明、水木しげる……日本人を妖怪好きにした? 15人の「妖怪ウォッチャー」
10.河童のイメージを変えた漫画家・清水崑 清水崑(1912-74)は『かっぱ天国』を『週刊朝日』に連載。親子の河童のキャラクターが黄桜のCMで使われ人気を博しました。ほのぼのとして心なごむ河童は「崑かっぱ」と呼ばれました。二代目の作者は小島功(1928-)で、美しくお色気たっぷりの「女かっぱ」がメインキャラクターとなりました。 11.妖怪ブームを牽引した水木しげる 「楽しいな お化けにゃ学校も 試験もなんにもない」というアニメの主題歌でおなじみの『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる水木しげる(1922-)は、「妖怪漫画家」と呼ばれています。鬼太郎は、幽霊族の末裔という設定です。妖怪ポストに送られてきた助けを求める手紙に応えて、悪い妖怪を懲らしめてくれるのです。 幼い頃から、家にお手伝いに来ていた「のんのんばあ」(妖怪やあの世の語り部のような人)から教えられた妖怪たちの世界に親しんでいた水木しげるは、伝承されてきた妖怪を描くだけでなく、外国の妖怪や創作した妖怪も作品にたくさん登場させています。夫人が著した自伝の『ゲゲゲの女房』は、NHKの朝ドラにもなりました。水木しげるによって、妖怪はお茶の間にも入り込み、親しまれる存在になったといえるでしょう。 12.『オバケのQ太郎』でブームを起こした藤子不二雄 「頭に毛が3本しかない…オバケなんだけれど友達」のアニメ主題歌で知られる、「のんきなオバケ」のオバQことオバケのQ太郎は、正太と親友で、お人好し、そして犬が大の苦手という愛嬌あるキャラクターです。オバQブームが起きコミックが大ヒットしたときに建設された、小学館の本社の建物は「オバQビル」とも呼ばれていました。 13.『となりのトトロ』で愛すべき妖怪を主人公にした宮崎駿 宮崎駿(1941-)監督の作品には、不思議でいて、なぜか心を惹き付けられる日本の原風景が登場します。そこに欠かせないのが妖怪たちです。『となりのトトロ』は愛すべき妖怪が主人公ですが、異界の物語である『千と千尋の神隠し』『風の谷のナウシカ』などにも妖怪が登場します。 14.『学校の怪談』をまとめた民俗学者・常光徹 学校のあちこちに棲みつき、ひしめき合う妖怪たちが繰り広げる不思議な出来事を、民俗学者の常光徹(1948-)がまとめた本『学校の怪談』は、ベストセラーになり、テレビアニメ化され、映画のシリーズ化もされました。収録されている「トイレの花子さん」や「口さけ女」「人面犬」などは、子供たちの間で語り継がれていた話です。 15.ベストセラー『姑獲鳥の夏』などで知られる京極夏彦 京極夏彦(1963-)のデビュー作は『姑獲鳥の夏』です。姑獲鳥は産女とも書く妊婦の妖怪のこと。この作品や『魍魎の匣』をはじめとする「百鬼夜行」シリーズ、時代小説の「巷説百物語」シリーズなどたくさんの妖怪ミステリーを著す人気作家であるとともに、妖怪研究家としても活躍し、世界妖怪協会・世界妖怪会議評議員でもあります。