トラックハウス・レーシング、出場取り消しのRNFチームを引き継ぎ2024年からMotoGP参戦へ
MotoGPの2024年シーズンから、アメリカのトラックハウス・レーシングがRNFチームを引き継ぎ、参戦を開始することとなった。 【動画】F1ドライバーにMotoGPライダー……世界のホンダがもてぎに集結! ホンダ・レーシング・サンクスデー2023 2023年シーズン終了後、MotoGPを運営するドルナ・スポーツは翌シーズンからRNFの参戦継続を認めないと発表した。 声明では、その理由として「MotoGPの公共的なのイメージに影響を与える、度重なる違反や参加協定違反を繰り返して来たこと」が挙げられた。 これはRNFの大株主でタイトルスポンサーを務めたCryptoDATAがオーストリアGPのスポンサー料を支払っていなかったことに関連しており、チームのサプライヤーにも未払金が多数あったと見られている。 motorsport.comが先日報じた通り、RNFのグリッド枠をトラックハウスが引き継ぐこととなった。 ジャスティン・マークスとミュージシャンのピットブルがオーナーを務めるトラックハウスは、これまで北米のNASCARに参戦。カップシリーズでは6勝を挙げた。F1チャンピオンのキミ・ライコネンがNASCARカップシリーズにスポット参戦したのもこのチームからだ。 トラックハウスは今年初め、すでにMotoGPのパドックを訪れ、グリッドに加わる可能性を模索していた。アメリカの外に事業を拡大すべく、彼らは当初2025年を目処にMotoGP参戦を開始する予定だった。 しかしCyproDATAの状況によってRNFの立場が危うくなったため、トラックハウスはMotoGP参戦を急ぐことになった。そして、トラックハウスは12月5日(火)に参戦計画を発表し、公式発表に先駆けてグリッドへ加わることを明かした。 チームはまた、発表会で星条旗をモチーフにしたカラーリングのアプリリアRS-GPを発表。これは、ニッキー・ヘイデンがホンダを離れて2008年に初めてドゥカティのテストに参加した際に使用していたものにちなんだものだ。なお2024年シーズンの完全なカラーリングは来年発表予定となっている。 トラックハウスは実質的にRNFチームとそのスタッフを引き継ぎ、アプリリアと契約を結んでいるミゲル・オリベイラとラウル・フェルナンデスは2024年もこのチームから参戦することとなる。 「これはトラックハウス・エンターテイメント・グループにとって記念すべき瞬間だ」 マークスはそう語る。 「世界で最も価値のあるモータースポーツ・エンターテイメント・カンパニーのひとつを築き上げるために必要な仕事をし、ビジョンを持ち、熱意と情熱を注ぎ込むことは、トラックハウス設立当初からの理念だ。MotoGP世界選手権への参入は、そのビジョンを実行するための新たな一歩となる」 また、マークスは次のように続ける。 「MotoGPは、アメリカだけなく国際的にも、今後数年間で大きく成長するための完璧なポジションにあると感じている」 「MotoGPはスリリングなレース展開、魅力的なスターたち、比類ないファンとパートナー体験、そしてファンに親切で温かみのある環境など、世界的な脚光を浴び続けるために必要な要素を全て兼ね備えている」 motorsport.comは2023年の最終戦バレンシアGPの際、トラックハウスがRNFよりも緊密な関係をアプリリアと築き、アプリリアがトラックハウスのライダーのひとりに3台目のファクトリーマシンを提供する可能性を検討していることを報じた。 ただ、2024年に最新型RS-GPの3台目を仕上げるため、アプリリアが全ての準備を整えるのは並大抵のことではない。 トラックハウスのMotoGP参戦は、元NBA上級副社長のダン・ロッソモンドが最高商務責任者に就任したことで、MotoGPがアメリカの影響を強く受けるようになったことと重なる。 アメリカにもMotoGPの豊かな歴史があり、1978年から1980年にかけてケニー・ロバーツSr.が獲得した世界タイトルは、フレディ・スペンサー、エディ・ローソン、ウェイン・レイニー、ケビン・シュワンツらによる1980年代から1990年代初頭にかけての支配的な時代への礎となった。 ただ、2006年にタイトルを獲得したニッキー・ヘイデンが最後のシーズンを過ごした2015年以降、アメリカ出身のフルタイムライダーは誕生していない。なお、アメリカ人ライダーとしての最後の優勝は2011年のアッセンを制したベン・スピースとなっている。
Lewis Duncan