「光る君へ」恐ろしい女社会をサバイブするには?左衛門の内侍役・菅野莉央が学んだ処世術
今のところ左衛門の内侍はまひろの障害となる人物として描かれているが、総じて本作でどのような役割を担っているのか。
「まひろがこれまで会わなかったような種類の人物から洗礼を受ける、風当たりの強さを感じるきっかけになった人だろうなっていうのが最初にあって。そして、藤壺の中でこれまで培ってきたものや、みんなで築き上げてきたルールみたいなものが、まひろによって壊されていくというか、新しいものが生まれるために古いものが壊されていくわけですが、左衛門の内侍はその後者に当たる存在。台本から、まひろや和泉式部のように自己表現する人、自立した女性が台頭してくる女性像の変わり目のようなものがすごく感じられて、左衛門の内侍はまだ新しいものに抵抗を感じる側の象徴なのかなと思っています」
ところで、SNSでは閉ざされた世界で生きる女房たちの人間関係が「大変そう」だと注目を浴びているが、菅野も「私も多分まひろと同じで1週間ぐらいで帰りたくなると思います」と笑う。「プライベートがないことが一番辛いんじゃないかと思います。お部屋も几帳一つで区切られているだけ、という場合もありますし、常にお互いの動向が見えてしまう。みんなが何をしていたとか、どんな話をしていたとかも筒抜けですし。噂話みたいなものもあっという間に広まるだろうし、その中で生き抜くってすごい大変だし、気を使うだろうなと。かなり特殊なルールの集団生活という感じがしました」
そんなシビアな集団生活をサバイブするためには「したたかな鋼のメンタル」が必要だという菅野。撮影を通じて多くの学びもあったようだ。
「長いものに巻かれているフリをしつつ気にしないっていうしたたかさというか、賢さは必要なんじゃないかと思いました。職場として考えた時には己の職務を全うするっていうのが最もつけ込まれる点を作らない感じがしましたね。女性たちの間では余計なことを話さないっていうのもあると思います。軽く言ったつもりのことが、ものすごい尾ひれがついて人に伝わってしまったりして、大事につながりかねないので」と自分なりの処世術を展開した。(編集部・石井百合子)