<甲子園交流試合・2020センバツ32校>大阪・履正社 19番目の選手、投票でつかむ 裏方兼務の高橋佑汰投手「胸いっぱい」
一発勝負の熱戦が続く2020年甲子園交流試合。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で春のセンバツや夏の選手権大会などが中止となる中、少しでも多くの選手に参加してほしいと、今回ベンチ入りできる登録選手は春夏の甲子園大会の18人から20人に拡大された。昨年夏の覇者・履正社(大阪)の19、20番は7月下旬に選手による投票で選ばれた。19番となったのは試合に出ながらチームの雑務をこなす「プレーイングマネジャー」の高橋佑汰投手(3年)だ。「夢の舞台に立てるのはうれしい」と笑みがこぼれる。 【真夏の熱闘】交流試合の写真特集はこちら 座右の銘は「念ずれば花開く」--。7月下旬の練習後、部内の2、3年生約50人から投票で選ばれた。例年、夏の出場メンバーは投票で決めるのがチームの慣例で、今年はセンバツ登録メンバーに追加する形で2人を投票で決めた。 プレーイングマネジャーになったのは昨夏、全国制覇した際に前任者から真面目な人柄を評価され「彼しかいない」と監督に推薦されたのがきっかけだ。試合前には備品を準備し、監督からの指示を選手たちに伝える。全国トップクラスで個性の強い選手たちを表と裏から支えてきた。 昨秋、近畿大会では準決勝で敗退するなど思うような成績が出なかった時があった。チームがバラバラになりかけたこともあったが、何度も部員たちと話し合い、それをまとめたプリントを配布するなど知恵を絞った。「高橋はストイックで真面目。チームメートから信用されている」と関本勇輔主将も全幅の信頼を置く。 センバツでも登録が有望視されていたが、惜しくも外れた。気を取り直して、チームを支えようとしていたさなかに、新型コロナの影響でチームは活動中止を余儀なくされた。4月からの自粛期間中は、トレーニングメニューを各部員に配信し、選手たちと綿密にコミュニケーションを取ることに力を入れてきた。 自粛期間中も不安はなかったと言い切る。部員ともう一度野球ができるのを信じていたからだ。7月下旬、19番目として岡田龍生監督から名前を呼ばれた時は喜びもあったが、切磋琢磨(せっさたくま)していた部員から「自分の分も頑張ってほしい」と言われて重責も感じる。 投手としての実績もある。大阪府の独自大会でも3試合に登板。準決勝では大阪桐蔭相手に3回を無失点で抑えた。変化球にキレが増し、岡田監督も「今後の成長が楽しみ」と太鼓判を押す。幼少期から夢見ていた甲子園。「野球ができるありがたみで胸がいっぱいです。両親の前で活躍して、部員全員で勝利する喜びを分かち合いたい」【隈元悠太、写真も】