「ふるさと納税を地域問題解決に」制度のあり方考える初の全国首長会議
「ふるさと納税」制度を考える初めての全国首長会議が12日都内で開かれた。122自治体の首長や職員約150人が参加し、制度の現状と課題や、ふるさと納税を利用した地域の課題解決などをパネルディスカッションなどで学んだ。
「ふるさと納税は機能し始めた」
会議は、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を運営する株式会社トラストバンク(東京都目黒区、須永珠代社長)と、ふるさと納税本来の趣旨・目的普及を狙いとして5月に発足した「ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合」、神戸大経営学研究科事業創造&地方創生センターが開いた。 2012年秋にふるさとチョイスを立ち上げたトラストバンクの須永社長は、ふるさと納税について「税の使い道を自分の意思で選べるすごい制度だと思った」。その上でまずは「返礼品がもらえた上に税の控除ができる制度がある」と返礼品をきっかけに制度を広めようと考えたと説明。「現在都市部の税収がマイナスになり、地域対都市部のようにとらえられているが、ふるさと納税が機能し始めたということ。地域の課題を解決するには意義のある制度」と述べた。 同自治体連合共同代表の1人で、ふるさと納税を提唱した西川一誠・福井県知事は、「福井県は幸福度、学力、体力日本一の県だが、進学で毎年3000人出て、戻ってくるのは1000人弱。こうした(地方と都市の)税の負担を制度でうまくできないかと考えた」。また平成16年福井豪雨の水害で、2億円の宝くじ当たり券を匿名で受け取り「そういう善意の人がたくさんいるのではと思った」ことも、制度化を国などに働きかけるきっかけになったと明かし、実際に熊本地震をはじめ、九州北部豪雨に対しても「地域を守ろう」という善意がふるさと納税で寄せられていると強調した。 制度が問題視されるきっかけになった豪華な返礼品については「やがて落ち着く」、「返礼品の“品”を、ものから心、プロジェクト、人という流れに変えていってほしい」と本来の理念に沿った利用へ、発展していくことを希望した。