収蔵スペース不足であふれる民俗資料をどうするか 奈良県の検討委初会合
奈良県立民俗博物館(大和郡山市)がスペース不足に伴う収蔵品整理のため7月から休館していることを受け、県は18日、専門家らによる「民俗資料収集・保存方針等検討委員会」の初会合を開いた。令和7年度中に収集・保存方針を策定する予定。スペース不足は全国の博物館で課題となっており、議論の行方に注目が集まりそうだ。 【別カット】収蔵庫に所狭しと保管されている民俗資料 県立民俗博物館は昭和49年に設立され、高度経済成長期に民具が消滅する危機感から積極的に収集。収蔵品は国重要民俗文化財「吉野林業と林産加工用具」を含む生活、農林業用具など約4万5千点に上り、旧高校や旧土木事務所でも保管している状況となっている。 委員会は専門家ら5人で構成し、委員長は日高真吾・国立民族学博物館教授。この日は同館の現況説明や参考事例の紹介の後、意見交換した。今後は収集する資料やデジタル保存、除籍などの基準を検討する。 会合後、日高委員長は「県民の生活推移を理解する資料が多く収集されている。ただ整理が足りないのでどのようにコレクション化を図り、発信するかが課題だ」と話した。 方針策定後は資料の整理やデジタル保存などを進め、令和9年度中の開館を目指すとしている。