加社買収提案への対抗策、セブン&アイ信用力の下方圧力に=S&P
[東京 15日 ロイター] - S&Pグローバル・レーティングは11日、カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスの買収提案への対抗策が強まる場合、セブン&アイの信用力への下方圧力になる可能性が高いとの見解を示した。クシュタールが7兆円規模に提案価格を引き上げたことで、株主価値向上に向けた取り組みをより積極的に進める必要に迫られているとした。 S&Pは、仮に買収提案を受け入れない場合、より具体的な成長投資や資本効率の改善、株主還元への取り組みを株主に示すことが求められると指摘した。 セブン&アイは10日、2025年2月期の利益見通しを下方修正した。S&Pは、EBITDA(償却前営業利益)の過半を稼ぐ海外コンビニ事業の収益への下方圧力が続くことで、今後1-2年、業績の回復は緩やかなものにとどまるとみる。米国小売市場でのセブン&アイの競争力は日本での競争力に比べてやや見劣りするとして、米国での収益が引き続きより消費環境の影響を受けやすいとの見解を示した。 セブン&アイは、イトーヨーカ堂などコンビニ以外の事業の再編計画も公表。S&Pは、再編後のキャピタルアロケーションなど資本政策や、株主価値向上に向けた取り組みが財務へ与える影響を今後精査する予定としている。セブン&アイの長期発行体格付けは「A」。