マジかっ!初代NSXタイプRが5000万円超?価格高騰している理由とは
日産のR34型スカイラインGT-Rを筆頭に、近年は90年代の国産スポーツカーの価格が高騰していますが、2023年11月に行われた業者向けの中古車オークションにおいても、5600万円という価格で落札されたクルマがありました。ホンダ初代「NSX タイプR」でした。 【写真】この記事のホンダNSXタイプRの内外装を見るならこちらから
■軽量化のため、エアコンもオーディオもなし!
初代NSXは1990年9月に誕生しました。乗員は2名で、排気量3.0LのV型6気筒 VTECエンジン(C30A型)を運転席の後ろへ配置して、加速時に後輪のトラクションを稼ぐMR(ミッドシップ・リアドライブ)を採用しており、フロントノーズ先端を極力に下げたデザインや、軽量化のためにオールアルミモノコックボディを世界初で採用するなど、国産車離れした内容で、当時から大いに人気のあったモデルです。 今回5600万円で落札された「タイプR」は、初代NSX登場の2年後である1992年に1995年秋までの期間限定販売で追加されたグレードです。 「タイプR」は、究極の走りを追求した最上級スポーツグレードであり、エンジンは標準車と同じく3.0L V6エンジンでした。が、クランクシャフトやピストン、チタン製コンロッドなどの重量とバランス精度が見直され、8000回転のレッドゾーンまで「カーン」というエンジン音と共に一気に駆け上がるアクセルレスポンス。 ダンパーとスプリングは、サーキットやワインディングでのハイスピード走行を想定し、ハードにセッティングされていました。 車両重量も、ドアビームやバンパーを軽量なアルミ製に置き換えるなどによって、標準車比でマイナス120kgを達成。軽量化のために、オートエアコンやオーディオ、エアバッグも外されるなど、かなりのスパルタンなモデルでした。
■良質の個体かつ、25年ルールをクリアしたことで、高騰した
今回5600万円で落札されたNSXタイプRの出品データを調べてみたところ、年式は1994年製造(平成6年)のNA1型(3.0L V6エンジン)、5速マニュアル車、修復歴はなし、ボディカラーはチャンピオンシップホワイト、走行距離はなんと13,000kmの超極上車。 走行距離が1万キロ台という奇跡的な個体だったので、競り価格が上がりやすかったという事情もありますが、ここまで落札価格が上がってしまったのには、米国における、日本のスポーツカー人気があります。 ご存じの人も多いかと思いますが、米国では、映画「ワイルドスピード(邦題)」などの影響で、「古い日本車に乗るのがカッコいい」という文化があるそう。しかしながら、米国には、「アメリカ合衆国の安全基準を満たさないクルマは輸入できない」という輸入規制があり、左ハンドルである日本車をそのまま米国内に輸入することはできません。 ただ、この輸入規制には、「製造から25年以上経過したクルマであれば、右ハンドルでもそのまま走っていい」とする例外が設けられており、今回のNSXタイプRは、その例外に当てはまったことで、ここまで価格が高騰してしまったのだと考えられます。