YOASOBIが韓国の音楽TV番組に出演し、日本語で「アイドル」を歌った衝撃…26年前には日本語の曲を放送できなかった国で
在日コリアンが韓国に留学したら #3
海賊版は出回っていたようだが、1998年の日韓共同宣言まで韓国では日本語の楽曲を公の場所で流すことは禁止されていた。また日本ではK-POPアイドルが韓国語で楽曲を披露することが一般的だが、韓国ではまだ日本人アーティストが日本語で歌うのは珍しいという。 【画像】韓国の映画館で初めて公開された日本映画の監督 書籍『在日コリアンが韓国に留学したら』より一部を抜粋・再構成し、YOASOBIの躍進を解説する。
YOASOBIが「韓国の音楽TV番組に出演」の衝撃
韓国における日本の音楽の人気にも触れておこう。留学中、特に印象に残ったのは、日本の大人気ユニットYOASOBIのテレビ番組「M COUNTDOWN」(韓国Mnet/通称エムカ)への出演だった。 僕が驚いたのは、日本語でヒット曲「アイドル」を披露したことである。韓国の音楽番組において、日本のアーティストが日本語で曲を披露するのは珍しい。 逆のパターン、つまり韓国のアーティストが韓国語の曲を日本の音楽番組で披露することには違和感がない人も多いだろう。 たとえば、韓国のガールズグループ、NewJeansは日本の夏フェスでのパフォーマンスが話題を呼んだが、すべて韓国語の曲だった。2023年の紅白歌合戦でも韓国語の曲を披露した。それに目くじらを立てる人はいない。それほどまでに、日本では韓国語の曲がポピュラーになり、定着している。 しかし、お隣の韓国で、日本語の曲が音楽番組で披露されるとなると、話は違う。なぜなら、1998年に日本文化が解禁されるまで、日本語の曲は放送することさえできなかったのである。海賊版はよく出回っており、日本の歌謡曲が広く聴かれていたという実態はあるにしても、放送のハードルは高かったのだ。 近年、韓国における日本のポピュラー音楽受容は大きく変化しているようだ。韓国に住んでみると、街中で日本語の曲に出会う。韓国ではカラオケ店などの店先にスピーカーが置いてあり、音楽が大音量で流されている。 その中で、日本の曲が流れていることが多いのだ。僕は、YOASOBIの「アイドル」も、韓国の街なかで初めて聴いた。