Living in Sapporo《イタリア人》マリアンナさん前編 宿題で日本に興味
【北海道・札幌】200万人近い人口を抱える北海道の道庁所在地・札幌。「さっぽろ雪まつり」を代表とする世界規模のイベントも開催され、多くの観光客が訪れる街だ。その札幌には多くの外国人(2011年の札幌市の調査によると「札幌の外国人登録者数」は9500人強)が住んでいる。そこで札幌に住んでいる外国人に「札幌の魅力」を聴く「Living in Sapporo」の第10回目前編では、札幌の大学や文化センターでイタリア語を教えているイタリア人、マリアンナ・チェスパさんに日本語に興味を持ったきっかけを聞いた。 (インタビュー・構成/橋場了吾)
ひらがな・カタカナ・漢字があることを知り、興味が湧く
私は、イタリア・アブルッツオ州にあるオルトーナというアドリア海に面している町で生まれました。第二次世界大戦の戦地のひとつで、戦争に関する博物館もある町です。北海道でいうと、小樽の雰囲気が似ていますね。とはいえ小樽よりは暖かく、夏場には35度近くまで気温が上がります。雪は降っても、ほんの少しですね。 私の父の仕事の関係で、8歳の時にイランへ引っ越して中学生の時にまたオルトーナに戻りました。イランではイタリア人が集まっている学校に行っていたのですが、その時の先生が「日本について調べてください」という課題を出しました。私は「日本語」というテーマで日本について調べることになったのですが、その時に初めて日本語にはひらがな・カタカナ・漢字があることを知り、「いつか日本に行きたい」「日本語をマスターしたい」と思うようになりました。 当時、日本のアニメが人気で『キャプテン翼』『アタックNo.1』をよく見ていました。スポーツものなので、みんなユニフォームに漢字で学校名が書かれているのですが、それが読めなくて寂しい気持ちになったものです(笑)。
大学に入って日本留学のチャンスを得る
その後、ペルージャ外国人大学の国際コミュニケーション学科に入学することになるのですが、これには家庭的な理由がありました。私には双子の妹がいるのですが、彼女は法学部に入りたいという希望を持っていました。そして、私の父は進学で遠くの町には行かせたくないと思っていて、妹と二人で同じ家に住むなら許可するということでした。私は日本語とペルシア語を学びたいと思っていたので、選択肢としてあったのがローマ・ナポリ・ベネツィアでした。ローマは妹がイヤだというのでダメ、ナポリは治安的に父からNGが、ベネツィアも遠すぎるので父がNGを出して、結局イタリアで法律を学ぶにはペルージャがいいということになりました。 私はペルージャでは英語とスペイン語しか外国語は学べないと思っていたのですが、偶然にも日本語の選択授業があったんです。これは本当にラッキーでしたね。当時、広島出身の先生がいたのですが、その方から「今度札幌の大学との交換留学生制度ができるから、札幌に行ってみないか」と誘われたのが札幌へ来るきっかけでした。 最初、札幌と聞いて「寒いからちょっと…」と思っていたのですが、来てみたらびっくり、住みやすくてとても良い場所でした。自然は近いし、人は優しい、冬は長すぎるけど雪は綺麗。2007(平成19)年に交換留学で1年間札幌大学に来て、2年後にも研究生として札幌大学にやって来ました。 それ以降は、北海道大学大学院の修士課程・博士課程で対照言語学を専攻し、無事終了しました。日本語とイタリア語の違いですか?全部違いますよ。(後編へ続く) ※後編は25日(木)に掲載します。