今年のU-18日本代表は“日大三風攻撃型チーム!”近大相手に12安打、宇野、花田、石塚、徳丸の4連打も!【高校日本代表詳細レポート】
新基準バットの効果
選手たちも速球投手を打てるための準備をしてきた。石塚は甲子園の初戦敗退後、速球に目慣らしをしてきた。 「自分の夏が初戦で終わってしまったので、戻ってからはマシンを速めに設定して打ち返す練習と同級生の上原(148キロ右腕)のブルペン投球で打席に立って、速球対策をしました」 第1打席の中前安打に続き、第2打席では大木 灯斗投手(2年=近大附)と対戦。大木も140キロ中盤の速球、120キロ前半のスライダーを投げる右腕だが、速球を弾き返し中前安打を放った。 打撃好調の打者が多いのは、新基準バットの効果が大きいと小倉監督は語る。 「私が初めて日本代表の監督をしたのは2012年ですが、甲子園が終わるまで木製バットで練習をしたことがないので、なかなか打撃面で成果が出ませんでした。今はしっかりと芯で捉えないと打球が飛ばない新基準バットを使っている影響からか、12年前の選手たちと比べても木製バットへの対応力はずっと高いですね」 2012年といえば、花巻東・大谷翔平投手(ドジャース)、大阪桐蔭・森友哉捕手(オリックス)などその後プロ入り選手が多くいたチームだった。それでも打線が沈黙して6位。当時の試合を振り返ると、詰まった打球が多かった。
自主性を促す野球
それでも守り勝つ、状況によって機動力を使う方針は変わりないという。 「もちろん強打の野球で圧倒できれば理想的ですが、国際大会では思うようにいきません。この日もエンドラン、盗塁も使っていましたし、終盤ではバントも使いました。バント、盗塁がスモールベースボールといわれますが、勝利するために必要な戦術であって、そこにスモールも、大きいも関係ないと思っています。ただ私の中では選手たちが思い通りに振れるようなサポートをしていきたいと思います」(小倉監督) 小倉監督は、選手の自主性を促すためにいろいろな試みを行っている。強化合宿の紅白戦ではあえてランナーコーチャーをつけなかった。 「甲子園ではランナーが進塁の判断の際、ランナーコーチャーに頼りすぎている場面が見受けられました。自分がランナーなのだから、打球、外野手の動きを見て、どう動くのか判断する。あえてつけませんでした」 また近畿大とのオープン戦では二死の場面でノーサイン。選手たちもベンチを見る動きがなかった。これも甲子園を見て感じたことだった。 「甲子園を見ると、二死、二死一塁の状況にもかかわらず、選手たちがキョロキョロとベンチにいる監督を見ているんです。その頻度が多いのが気になりました。状況的には打つしかないんです」 実際に近畿大戦の初回では二死から4連打で同点に追いついた。 小倉監督は接戦の場面では細かい戦術を伝えるが、基本的には選手が積極的にバットを振れる状況を作っている。打撃力が高い選手が多い今年のメンバーにとっては合理的な選択だ。