シンワル氏殺害で近づいたガザ戦闘の終結 イスラエルは好機を生かせるか
(CNN) イスラエルから「死刑囚」と呼ばれていた人物が死亡した。 イスラム組織ハマスの最高幹部、シンワル政治局長をパレスチナ自治区ガザ地区で殺害したことは、イスラエルにとっての重要な勝利だ。1年間追跡の対象となっていたシンワル氏は、イスラエル史上最悪の死者を出したテロ攻撃の黒幕と目されている。 【映像】シンワル氏の最期を捉えた映像、イスラエル軍が公開 さらにシンワル氏の死により、ガザでの泥沼の戦闘が終わりに近づく可能性があるとも専門家らは指摘する。イスラエルとその友好国とが好機を捉えるならという条件付きだが。 テルアビブ大学のモシェ・ダヤン中東アフリカ研究センターで上級研究員を務めるハレル・チョレブ氏はCNNの取材に答え、シンワル氏の死がハマスにとって致命傷になる可能性があると指摘。その理由はシンワル氏による組織運営の手法にあるとした。 今回の戦闘が起こる前、ハマスの権力は分散していた。チョレブ氏によると、ガザにおける政治部門のトップだったシンワル氏は、多数いるリーダーの一人に過ぎなかった。 しかし、この1年で状況は変わった。 「シンワル氏は唯一の意志決定者となり、当然ながら権力は強まる一方だった。イスラエルが(ハマス軍事部門トップの)ムハンマド・デイフ氏など重要人物を次々に殺害していったからだ」と、チョレブ氏は説明する。 1年にわたるイスラエルの猛攻撃でガザは壊滅。膨大な数の民間人が死亡した。ハマスも著しく弱体化し、今回のシンワル氏殺害で大きな権力の空白が生じるだろう。イスラエルとその友好国が現状を最大限に利用しようとするのは間違いない。 自分が死亡した場合に何をするべきかについて、シンワル氏が何らかの指示を言い残していたのかどうかは不明だ。 後継者候補には複数の名前が浮上している。シンワル氏の兄弟で同じく強硬派のムハンマド氏や、カイロでの停戦協議でハマス側の交渉責任者を務めるハリル・ハヤ氏などだ。ただいずれもシンワル氏ほどガザで知られた存在ではない。 「イスラエルはこの状況に付け入らなくてはならない。恐らくハマスのメンバーの間では大変な混乱が広がっている」(チョレブ氏)