《侍ジャパン》試合直前に「大盛りの丼2つ&大盛りラーメン」ついたあだ名は宇宙人…球界の愛されキャラ・紅林弘太郎「マイペース伝説」
首脳陣が期待する「鈍感力」
その一方で、中嶋監督は紅林を抜擢した一因を、この「鈍感力」だったとインタビューで挙げている。「明日は外そうと思うが、次の日になると何かやってくれるのでは、と思い直してスタメンに入れてしまう」劣勢を跳ね返すような活躍をしてくれるのではないかと、つい期待してしまう存在なのだ。 それは、現在のプレミア12でも同様かもしれない。今季の最終成績は2割4分7厘、2HRと振るわず、本人も「本来なら代表に選ばれる成績ではないのですが」と謙遜する結果に終わってしまった。同ポジションで選出されているのが、ゴールデングラブ賞を7年連続受賞した源田壮亮ということもあり、何かと比較される苦しい立場でもある。 だが、井端監督は「短期決戦に強いイメージがある」と、視察に訪れたときも自ら声を掛け、期待を込めて招集した。 名手・宮本慎也も目を細めながらその成長を見守っているひとり。紅林は2年連続で宮本をオフシーズンの自主トレに招待しており、宮本は自身のYouTubeチャンネルで、そのときのエピソードをこのように披露している。 「自分から呼んだくせに、『しんどーい、しんどーい』と弱音を連発するんですよ(笑) まあ、うちの子供と同年代、かわいいものです。『しんどいか~、もうちょっと頑張ろうな』と励ましながらね。なかなか天然で面白い。まだ大きい身体を使いこなせていないところもある。本当の意味で、プロの身体になって活躍するのが楽しみですね」
「大盛りの丼2つに大盛りラーメン」試合直前に4食分
「鈍感力」だけではなく、頑健な身体も長所のひとつだ。「無事之名馬」という格言があるが、今季はほとんどの試合でフル出場、一度も抹消されずにシーズンを駆け抜けた。そのエネルギーの源は飽くなき食欲。母親から育てるのにかかったお金は「ほぼ食費」と呆れられるほどの大食漢で、試合直前の食事を見た若月健矢は、 「大盛りの丼と大盛りの丼と大盛りラーメン。えええ!? みたいな。ある日はラーメンとそばとうどんと丼。違う日はカレーライスと親子丼とラーメン大盛りとか。1回の食事で4食分…」(日刊スポーツ) と、その献立に戦慄している。本人もさすがに食べ過ぎを自覚しているのか「1回出塁したら体重は1キロ減ると思っているので、食べていいことにしている。普段は丼飯一杯だけど、1回出塁したらラーメン追加、2回なら丼飯おかわり」(スポニチ)と、独自のカロリー計算法を打ち立てている。どんな大舞台に臨んでも、「これまでの人生で、緊張やプレッシャーで食べられなくなったことはない」という。 そもそも紅林少年が野球を始めたきっかけにも、すでに“らしさ”が現れていた。静岡・藤枝の生まれということで、本当はサッカーをやりたかったというが、父親から「ポケモンの筆箱を買ってあげる」と言われたことが転機となり、野球を始めた。中高と地元の公立校で育ち、決して野球エリートの道を歩んできたわけではない。 駿河総合高時代の恩師である望月俊治監督は当時から「無欲で大らかな性格」と回想しており、スカウトから早い段階で高い評価を受けていたものの、高校時代に提出した進路希望調査は「就職希望」だったと明かしている。監督とのLINEのやり取りもシンプル。「頑張れよ!」とエールのコメントを送ると、「ウッス!」と一言だけ返信があったという。 マイペースで我が道を行く性格は、学生の頃からずっと変わらないようだ。