【闘病】1歳の息子に異変…病院で「脳腫瘍」診断。辛い治療を乗り越えて見つけた家族の大切さ
体調が悪くなることなく、抗がん剤治療を終えることができた
編集部: 化学療法はどのように進めていったのでしょうか? 穴井さん: あまり詳しく覚えてないのですが、『3日間抗がん剤治療・1週間休憩』のペースを2カ月間行いました。その間、体調が悪くなることもなく一度も中止せず終えることができました。先生から抗がん剤を始める前、事前に「1歳くらいの場合は抗がん剤でしんどくならないことが多い」と教えてもらっており、抗がん剤の副作用の嘔吐などの症状もなく、大きく体調を崩すことはなかったです。 編集部: その後の治療の流れも教えてください。 穴井さん: 化学療法の後、すぐに放射線治療はしませんでした。まだ1歳だったので、放射線治療ではなく手術で乗り切っていました。でも、頻繁に再発を繰り返すので、2歳4カ月で再発した時初めて放射線治療に踏み切りました。 編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? 穴井さん: 兄弟が多いのもあって付き添い入院はしなかったのですが、私は仕事も辞めたり、面会に行くため送り迎えができないので兄弟は習い事を辞めたりと、色々変化はありました。 編集部: ご兄弟は入院されているお子さんに対してどのような思いを感じられていたのでしょうか? 穴井さん: まだ全員小さかったこともあり、どこまで理解していたかは分からないですが、「早く元気になって帰ってきてほしい」「かわいそう」とはよく言っていました。 編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 穴井さん: やはり家族の存在だと思います。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? 穴井さん: 「体調の変化が出だした時点で、しつこくてももっと色々な検査をしてもらいなさい。子どもの少しの変化に一番気づいてあげられるのは、母である私だよ」と言いたいです。
デイサービスの看護師が付き添いし、保育園生活をフォロー
編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 穴井さん: 現在は3カ月に一度のMRI検査で、経過観察をしています。保育園にも通っていますが、医療的ケアが必要な状態なので、いつもお世話になっているデイサービスの看護師さんが保育園に同伴してくれています。 編集部: 看護師さんは具体的にどのようなことをしてくださっているのでしょうか? 穴井さん: 気管切開と胃ろうをしているので、痰吸引をしてもらったり、胃ろうから適宜水分を注入してもらったりしています。ほかにも、息子が少し辛そうだと思ったら血中酸素濃度を測ってもらうこともあります。保育園にいる間はすぐに対応できるように常にそばで様子を見てくれています。 編集部: 脳腫瘍を意識していない人に一言お願いします。 穴井さん: お子さんの様子が少しでも変だなと思ったら病院へ連れて行ってあげてほしいです。大人の方であれば、やはり定期的に人間ドックや脳ドック、がん検診に通ってほしいです。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 穴井さん: 毎日たくさんの患者さんを診て、大変なお仕事だと思います。大事なこと、危険性など、厳しいことを伝えないといけない時、当事者だけでなく家族の心のケアもしてもらえたらと思います。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 穴井さん: 子どもの少しの変化にもすぐに気づくことができるのは、やはり私たち親です。お子さんの不調があったとき、「こんなことで病院へ行って過保護な親だと思われたら嫌だな」などとためらわずに受診してほしいと思います。