【アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談】推し活がやめられないアラフォー女性へアドバイス
働く30代が抱える日々のもやもやを、一見冴えない(!?)アンガールズの田中卓志先輩にぶつける連載【隣の部署の田中先輩】。今回は、推し活が楽しすぎて現実に目を向けられないという女性の悩みに田中先輩が的確アドバイス! 【写真】アンガールズ・田中卓志さんのお悩み相談
《今月のお悩み》推し活が楽しすぎて、現実から目をそらしている気がする(35歳・会社員)
今年で35歳になりますが、若い男性アイドルを追っかけて全国を飛び回っています。彼氏はいなくて、結婚願望も今のところなし。ただ、家族や友人たちが自分のことを心配しているのは強く感じています。推し活友達はいるので今は孤独ではないのですが、いつかすべてがなくなってしまうのでしょうか? 早めに現実に戻ったほうがいいですか?
田中先輩の答え…推しがいるのは素晴らしいこと。無理にやめなくていいと思う
■推し活では手に入らないものがあることは忘れないで どんなに周りに責められても推し活をやめることができない、その気持ちはよくわかります。僕だって、大好きな「広島東洋カープ」のファンをやめろと言われても絶対に無理。野球選手はベテランになるにつれ背番号が変わっていくから、「今、この瞬間の背番号が欲しいんだ!」と、自分の服はいつも数千円なのに、推しの若手選手のユニフォームには迷わず一万円くらい出してしまうし。一年に一着は買ってしまうそれを、急に「買っちゃダメ」と言われたらものすごく悲しいしね。 そもそも推し活は悪いことじゃないと僕は思うんですよ。バラエティ番組の収録の控室では、野球ファンが集まって盛り上がることがよくあるんだけど。千鳥のノブさんはその輪に入りたいがために無理矢理“巨人ファン”になったらしい(笑)。推し活は友達を増やしたり人間関係を活性化してくれることもあるんだよね。また、推しのアイドルが活躍すれば喜び、スキャンダルが出れば落ち込む、まるで自分のことのように心を震わせながら応援する姿はすごく楽しそうだし。アイドルに夢中になったことがない僕としては、そのエネルギーがちょっとうらやましかったりもするんですよ。 推し活に夢中になっている人はみんなキラキラしているから。そのキラキラを失ってしまうくらいなら無理にやめなくてもいいと思う。ただ、夢中になりつつも、現実からは目をそらさずしっかり向き合うのも大事なこと。正直、この世には推し活をよく思わない男性がいるのもまた事実。僕自身、もしも今、奥さんがアイドルの追っかけを始めたらちょっとイヤかも。というか、「もしかして、本当はイケメンが好きなのかな」「オレ、イケメンじゃないけど大丈夫かな」って不安になると思うんだよね(笑)。アイドルは遠くにいていいところしか見えないからこそ魅力的なわけで。それも忘れちゃいけないことのひとつ。偶像ではない現実の男性はそんなに素敵に思えないかもしれないけど、彼は大勢のファンではなくあなた一人を見てくれる。いろんなところに一緒に行けるし、その度、二人の写真や思い出は増えていく。ともに過ごした時間は二人の絆と関係を深めていき、すぐ近くにいるからこそイヤなところも見えてくるけれど、いつかそれも引っくるめて「好き」と思える日がやってくるかもしれない……。リアルな恋愛には推し活では手に入らないものがあるってことはやっぱり忘れちゃいけないと思うんだよね。 推し活はやめてほしくないけれど、現実の幸せも見つけてほしい。そう願う僕から相談者さんへのアドバイスは「推し活の現場で結婚相手を探したほうがいい」。同じものに夢中になれる二人は波長が合うと思うし、夫婦で推し活をしたら絶対に楽しいと思うんだよね。また、自分の推し活に相手を巻き込んでしまうのもひとつの手。かくいう僕も、奥さんを『頭文字(イニシャル)D』の世界に巻き込んだばかり。ドライブ中に漫画のセリフを叫びながら運転。助手席の奥さんに作品の魅力について熱く語りつづけたら、気になったんですかね。夜中にアマゾンプライムで『頭文字D』のアニメを見ていましたからね(笑)。 いつの日か、ステージの上だけでなく現実世界にも目を向けて、夫という名の新たな推しも見つけてほしいよね。
田中卓志 たなか たくし●1976年生まれ、広島県出身。大学時代の友人、山根良顕とお笑いコンビ「アンガールズ」を結成。「呼び出し先生 タナカ」(フジテレビ系)など多数のバラエティで活躍中。 撮影/黒沼 諭〈aosora〉 ヘア&メイク/高橋将氣 スタイリスト/高山良昭 イラスト/ますこえり 取材・原文/石井美輪 撮影協力/アワビーズ ※BAILA2024年8・9月合併号掲載