至高の温蕎麦4選! 一杯2700円の贅沢な鴨南ばんも
昆布ときのこ旨みを掛け合わせた深い味わいに感動『お蕎麦のしらかめ』@経堂
たくさんの絵画で飾られた店内は、一見そうとは思えぬ風情ながらも中休みなしの通し営業で、ご近所さんが寛ぎながら盃を傾けている。そんな光景は昔ながらの蕎麦屋とおんなじだ。こんな店では昼酒がよく似合う。 「豆乳そば豆富」のやさしい口当たりが皮切りにぴったりで、続いて味の強い「鴨のつくね揚げ」へと切り替えゆるりと流れる時間を過ごしたら〆へといこう。 今の時季だけのお楽しみが「きのこ蕎麦」。立ち上る香りに誘われてツユをすすれば、丁寧にひいた昆布のダシと、なめこやえのきなど7種類ほどを組み合わせたきのこ類、それぞれの旨み成分が重なり合い膨らんで、舌に沁みていく。 きのこ蕎麦1470円(数量限定) 微粉に挽いて十割で打った蕎麦の端正なコシときのこの食感が響き合い、軽いとろみを帯びたツユは最後まで熱々だ。こんな1杯に出合えたなら、いつもの冬よりちょっと心が弾むはず。 [住所]東京都世田谷区経堂1-27-13ディアコート経堂1階 [電話]03-3420-1988 [営業時間]11時半~20時半(19時半LO)※蕎麦がなくなり次第終了 [休日]火(他不定休あり) [交通]小田急線経堂駅南口から徒歩5分
正統派の"かけ"とシャープなキーマ餡が器の中で響き合う『蕎麦カネイ』@西荻窪
カレー蕎麦(南蛮)と聞けば、とろみのあるツユをたっぷりと絡めながら麺が持ち上がる、そんな姿を思い浮かべるだろう。しかしこちらで出すのは"かけ"の派生型。 まずは真っ白な器に映える艶をまとったツユに挑んでみれば、ダシの香りのなかに濃口醤油の骨太なコクと風味を効かせた、真っ向勝負の江戸前だ。一方の本葛でとろみをつけた鶏挽き肉のカレー餡は、ガラムマサラを効かせたビビッドなスパイス感に、頭の中ではインドの風景が広がった。 カレー1350円 一見、真逆に思える両者を、甘皮ごと挽いて穀物らしいふくよかな甘みが膨らむ蕎麦が見事に取り持っている。ひと箸ごとに味わいがグラデーションのように変化してゆく楽しき仕掛けに最後まで翻弄されっぱなし。 「実は近所においしいキーマカレーを出す店があって、そこをヒントにしたんです」とご主人は笑いながら話してくれた。 通し営業です。ゆっくりお過ごしください。 [住所]東京都杉並区西荻南3-16-5 [電話]非公開 [営業時間]11時半~20時(19時半LO) [休日]水、第2・4火 [交通]JR中央線ほか西荻窪駅南口から徒歩3分 撮影/貝塚隆、取材/肥田木奈々(ほしのま)、岡本ジュン(じゆうさん)、菜々山いく子(お蕎麦のしらかめ、蕎麦カネイ) ※2025年1月号発売時点の情報です。