腹心結集のトランプ人事、個人的報復に向け「忠誠心」重視で一本釣り…歯止め利かなくなる恐れも
官僚機構不信
トランプ氏は、命令に従わないキャリア官僚を一掃し、政権が任命できる仕組みを検討している。省庁の上級職にも信頼を置ける人物を送り込み、官僚機構を抑え込む構えを見せる。
背景にあるのは連邦政府機関に対する不信感だ。第1次政権でトランプ氏が弾劾(だんがい)訴追された際、一部の官僚が訴追に協力して機密情報を外部にリークしたことに対し、トランプ氏は強い恨みを持つとされる。官僚機構の「背信」で自身が起訴に追い込まれたとの思い込みもあるようだ。
このため、トランプ氏は個人的な報復に向け、司法長官の人選を特に重視する。司法長官候補のパム・ボンディ氏は、トランプ氏を起訴した検察官や連邦捜査局(FBI)捜査官らを「ディープステート(闇の政府)」の一員と呼び、捜査・起訴すると公言する強硬派だ。トランプ氏は司法省の掌握に向け、ナンバー2の副長官にも自身の刑事裁判の担当弁護士を送り込む方針だ。
第1次政権ではペンス副大統領ら穏健派がトランプ氏の暴走を食い止める「ガードレール」役を果たしたが、次期政権では不在だ。歯止めが利かなくなる事態も予想される。一部の閣僚候補は適格性が問題視されており、上院で人事が承認されるかは不透明な面もある。
政権移行に署名
【ワシントン=阿部真司】米国のトランプ次期大統領の政権移行チームは26日、バイデン政権のホワイトハウスと政権移行に関する文書に署名したと発表した。来年1月の新政権発足に向け、政権移行準備が本格化する。
署名により、各省庁が機密情報などを新政権のメンバーに引き継げるようになる。ただ、トランプ氏側は閣僚候補らに対する連邦捜査局(FBI)による身辺調査を認める合意を拒んでおり、引き継がれる情報が制限される可能性がある。
トランプ関税に報復示唆…メキシコ・カナダ両国
【ロサンゼルス=後藤香代】米国のトランプ次期大統領が不法移民の流入などを理由にメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課すと表明したことを受け、両国は報復関税の可能性を示唆している。