主体的な社員ほど、最適なタイミングで「質のよい経験」をしている
一人ひとりの「成長度合」に合わせた経験
この、個人が置かれている状況を成長度合と考えます。例えば、新入社員や初めての業界に転職したての中途社員など、仕事についてまだ知識もなく、技能も伴わない相手の場合は「問い」を与えるよりも「教える」ことが優先されます。まず必要な知識を教えることで、相手が知識を得、自分で考える土台を築く必要があるのです。 人にはそれぞれ、人材としての成長度合がありますが、それを次の4つのレベルに分けて考えます。ここでは会社組織を前提に考えることとします。 レベル1:まだ社会人、職業人として未熟な段階で仕事そのものの学習を必要とする レベル2:仕事を覚え始めたが成果につながらないことで不満が生じやすい段階 レベル3:仕事も理解し、実践を通じて成果も出ているがどこか不安を抱えている状態 レベル4:社会人、職業人としての人格を形成し、キャリアの自覚を有している段階 次に、レベルに応じて必要な経験とはどういうものかを定義します。例えば、 レベル1:経験範囲は狭くて可。まずは仕事を覚えるための経験が必要。この段階で時間をかけすぎてはいけない。できるだけ早くレベル2へのシフトが求められる。 といった具合です。このように、人にはそれぞれのタイミングで必要な経験というものが存在し、また、そうした人材の成長度合に応じて必要な周囲(主に上司など)の関わりも異なることがわかります。 注意すべきは、一つの経験を中途半端に終えて、次の経験にシフトすると、その人の成長につながるサイクルを中断させてしまうことになる点です。チームのメンバーに質のよい経験をさせるために、ぜひ覚えておいていただきたい点です。 ここまで、質のよい経験とは何かをお伝えしてきました。ただし、大切なのはこれだけではありません。この「経験」と合わせて「解釈」「判断」「行動」にも質が求められるのです。経験・解釈・判断・行動のサイクルを繰り返すことで、社員は主体性を発揮する組織となるのです。