神戸の会社員が自転車で南極点へ 仕事と両立で夢叶えたい
南極点到達にとらわれず...家族を悲しませたらいけない
南極へ行くための準備は年月をかけコツコツと進めた。2年前には南極旅行ツアーを利用して、実際に自転車で試走も経験。「ツアー客とは現地で自分だけ違う行動で浮いてました。南極で自転車をこぐと、パウダースノーでは車輪が空回り。ペダルは折れるしすごかったです」
だが、自分の持っている装備でどれだけ耐えられるか。それを試す貴重な機会となった。また「あの時の費用は150万円かかりました。額が大きすぎて1回じゃ振り込めませんでした。これだけ貯めるには時間もかかりますから」とも振り返る。南極へ行くには安い方のツアーではあったが、サラリーマンにとって、この額は決して安いものではない。そうした現実をかみしめながら、南極走行を一生懸命試した。 また装備に関しては、気温マイナス30~40度の中、自転車で走るため凍傷などには気をつけなくてはいけない。「注意深くやらないと、指などを失うこともある。そんなことになったら家族が悲しむし...」 大島さんは第一に一家の大黒柱である。今は2歳の娘がかわいくて仕方ない。今回の南極行きは、これが大きな壁だった。だが、行くと決めた以上は、無事に帰国しなくてはならない。 「昔、自分が自転車旅をしていた時、母親がいつも神棚に祈ってくれてて...」。自分は自転車旅から帰ると、皮膚がシミだらけになったりしていた。今、親の立場となり、チャレンジしたいことは受け入れるとしても、もし娘がそんな姿で帰ってきたら...たまらない気持ちになるだろうと考えた。 親になって分かったこともたくさんある。だからこそ、南極点到達にとらわれて指や足を失って帰国してはなんにもならないという強い思いがあるという。
ソーラーパネルとPC持参で南極でも仕事します
出発の24日が迫ってきた。当日は関西国際空港から南極観光ツアーの出発地としても知られるチリのプンタ・アレーナスへ向かい民間輸送機に乗り換え。南極西部にある「ユニオン・グレーシャー基地」という民間ベースキャンプへ行く。 そこから飛行機で約800キロほどの雪原へ行き、約200キロ先の南極点を自転車で目指す。「到達は来年1月中旬くらいの予定です、仕事の関係でそこが限度。あっ、もちろんパソコンと電気を起こすソーラーパネルは持っていきます。パウダースノーの上で、仕事の作業もする予定です。僕は冒険家ではなく、サラリーマンですから」 会社の先輩や同僚らは今回の南極行きに「ずっと南極って言ってたもんな。がんばっておいで」「それが終わったらそのエネルギーを仕事に向けてね」などと数々の激励をもらった。そして、最愛の妻や娘も心から応援してくれている。そんな大切な人たちの支えを胸に、サラリーマンの南極冒険は間もなくスタートを切る。