アニメ『俺レベ』制作スタジオも注目! ソニー「mocopi」の意外な活用例
■アニメーション制作と相性がいいmocopi ソニーではmocopiを発表した当初、主にVTuberを中心とする動画クリエイターによるユースケースを紹介していました。当時から、やがてアニメーション制作の現場にもmocopiが採用されることを、ソニーの開発チームは予測していたのでしょうか。南氏に聞きました。 「アニメーション制作にmocopiが役に立つ確信を持っていました。ただ、アニメーション制作の新しいワークフローを提案する使い方になるため、時間をかけて紹介する必要があると考えていました。A-1 Picturesのスタッフに試用してもらい、現場の声をていねいにヒアリングしてきました。商品発売後に、SNSなどの反響も通じてmocopiユーザーの声を調査してみたところ、私たちが想定していた以上にアニメーション制作の現場で多く使われていることがわかりました。とても良い手応えを得ています」(南氏)
A-1 Picturesの工藤氏は、モーションキャプチャー撮影の“新しい選択肢”としてのmocopiに、期待を寄せていました。 だとすれば、一方ではmocopiのような商品がモーションキャプチャーのスタジオや、アクターとして働くクリエイターの仕事をうばうことにならないのでしょうか。ソニーの南氏はその可能性を否定しています。 「mocopiはとてもコンパクトで手軽に使える慣性式のモーションキャプチャーセンサーですが、やはり光学式のキャプチャー技術に比べると精度は劣ります。光学式の機材や技術を使う仕事は今後も必要とされ、より高いレベルに進化すると考えています」(南氏) ■2足歩行キャラを超えて「アニメの動き」がよりリアルに mocopiのようにクリエイターが簡単に使えるデバイスが普及すれば、アニメーションスタジオの資産になるモーションキャプチャーデータの「ライブラリーが増える」ことも期待できると工藤氏は語っています。 「mocopiによってモーションキャプチャーが手軽に撮れるようになれば、いま圧倒的に不足しているさまざまなデータのライブラリーに厚みが増すことが期待できます。たとえば小学生ぐらいの年齢の子どもや、年配の方など幅広い人物のリアルな動きが再現できるようになります(編注:mocopiがモーションを正しく認識できる身長は140~190cm)。スポーツ選手の動作、あるいは今まで頭の中で想像するほかなかった、さまざまなタイプの人間の動きのデータを充実させられると思います」(工藤氏) 『俺だけレベルアップな件』に登場する兵士も含む「2足歩行のキャラクター」以外にも、たとえば犬や猫など動物のモーションキャプチャーのデータも撮れるのでしょうか。 南氏によると、現在はmocopiの初期設定段階に必要なキャリブレーションの動きを、犬や猫にデバイスを装着して行う必要があるので「すぐには難しい」と答えていますが、今後mocopiを使ってより多様なモーションキャプチャーデータが撮れるようにある展開が始まったと語っています。