【おひとり女子のホテル滞在記】変わらぬ時を刻むクラシックな『万平ホテル』にかけがえのない時があった
「アルプス館」は、昭和11年の建築時から多くの賓客に愛されてきました。まさに、万平ホテルを象徴するようなクラシカルさ! 客室には和洋折衷のインテリアを受け継いだ空間が広がっていました。
丸いペンダント照明、ガラス障子に伝統工芸の軽井沢彫が施された家具、猫足のバスタブ。少しの間でしたが、普段、体験できないクラシックな空間に身を置くひと時に幸せを感じてしまいます。
枕元の照明や時計、猫足タブなどディテールに心が躍ります。
エレベーターホールに変わった空間も
今回の改修でアルプス館に新設されたエレベーター。その窓際には大正時代に使われていたという素敵な椅子と、軽井沢彫のテーブルが。実はこれ、元々客室があった場所を生かしていて、窓際まで行くと謎のスペースまで残っています。そんな粋な造りを発見できるのもリニューアルの面白さかもしれません。
天然温泉の湯を設えた「愛宕館」
今回宿泊したのが、新たに内風呂に天然温泉の湯を設えた「愛宕(あたご)館」。先ほどのアルプス館とはまた違い、モダンさが融合しています。 西洋家具と組子格子といった伝統意匠がうまく散りばめられ、窓からは軽井沢の四季折々の景色が広がる。新しいのに、落ち着きがある。窓際の椅子に座ってしばし、くつろぐ瞬間がなんとも心地いいのです。
思い出に残る場所には、忘れられない瞬間が訪れる
ぼんやりと素敵な空間に身を置いていると、ふと、忘れられない旅先のホテルを思い出しました。それはシチリアで泊まった修道院を改修したホテル。広々とした室内にはアンティークの家具が置かれ、窓の外からは美しすぎるまでの海辺のサンセット。静寂の中に波音が響いていて、思いがけない同行者の赤裸々な話を聞いた。そんな思い出。
歴史ある場所の前では特に着飾る必要もなく、自分を振り返る瞬間があるのでしょう。 窓際で、ベッドの上で、湯に浸かりながら静寂を楽しみ、さまざまな思いを巡らせ、好きな音楽をBGMに身を委ねたり。少しずつ降り積もる大切な時間が愛おしいんですよね。
ベルの合図でディナーへ。芸術的なダイニングで味わう伝統の料理
17時半になると、メインダイニングルーム前で、ディナーのスタートを知らせるベルの音色が響きます。さあ、お楽しみの食事タイムの始まりです。 会場はまるで、古き良き時代の社交場。ダンスホールとして使われていたこともある空間には、アイコン的な存在のペンダント照明、開業当時の軽井沢を描いたステンドグラス、格天井の美しさに圧倒されます。 万平ホテルの滞在に欠かせない、ディナータイム。普段体験できない優雅さと料理との出会いに、鼓動が高鳴るのを感じます。