豊洲千客万来、歌舞伎横丁へ辛辣評価 外国人「みくびられている感」で見透かす安直な〝おもてなし〟
【列島エイリアンズ】ツーリスト・トラップ編(1) インターネットの掲示板やSNSなどに、外国人が投稿する日本関連の書き込みに近年、急増している英語のキーワードがある。それは「ツーリスト・トラップ」という言葉だ。文字通り、「観光客を待ち受ける罠」という意味だが、ぼったくりや詐欺だけでなく、いわゆる「がっかり観光スポット」全般を指す言葉として広く使われている。 <内部の店舗も、単なる寄せ集めのようにみえる。非常に安普請なつくりで雰囲気もほとんどない。臨時の見本市の屋台のようなツーリスト・トラップの典型> <日本人は利用しないであろう、無知な外国人観光客が喜ぶだけの完全なツーリスト・トラップ。本物を体験するには築地に行くべきだ> 米ネット掲示板redditでそう酷評されているのは、今年2月に開業したばかりの豊洲千客万来だ。 1杯1万円超えなどの「インバウン丼」が話題になったとおり、飲食店の観光客プライスの暴走ぶりは日本のネット世論からも厳しい目が向けられた。 「ツーリスト・トラップ認定」されているスポットは豊洲千客万来だけではない。例えば、昨年4月に新宿で開業した歌舞伎町タワーにあるエンターテインメントフードホール「歌舞伎横丁」もそうだ。同施設は、開業当時、男女の区別のない「ジェンダーレス・トイレ」が物議を醸したが、英語によるネット上の書き込みにも、<まずい料理、高すぎる値段、ツーリスト・トラップ。インフルエンサーの誇大広告によって過大評価されている>。 <本質的なコンテンツがなく、にぎわいを演出するだけでは集客は難しいだろう>(ともに旅行レビューサイト・トリップアドバイザー)―といったネガティブな意見が少なくない。 これらのツーリスト・トラップに寄せられた批判的なレビューの多くは、価格の高さや質の低さに関するものだ。 だが、彼らの不満を際立たせているのは、相場以上の価格を支払わされたり、まずい料理を食べさせられたりという実質的な損害よりも、外国人観光客として「みくびられている感」であるようにも思う。 それは歌舞伎横丁についてGoogleマップのクチコミに書かれた<大音量の音楽をかければ白人旅行者が喜ぶとでも思っているかのよう>という投稿にも如実に表れている。言い換えれば、外国人観光客の財布を当てこんだ安直な「おもてなし」が、見透かされつつあるのだ。 =つづく