花王のウェブアクセシビリティ、4年で700サイトの品質基準達成をめざす“全社プロジェクト”の進め方
┌────────── 当社では、CMSにAdobe Experience Managerを全社で利用しており、花王仕様にカスタマイズしています。私と後藤が所属するマーケティングプラットフォーム部がCMSの開発・運用・保守をおこなっているため、当部署でCMSの改修を進めています。数年がかりで取り組み、ようやく完成が見えてきました(渡邊氏) └──────────
またコンテンツに起因する問題は、画像に「代替テキスト」が設定されていない、背景色と文字色の「コントラスト比」が低く見えづらいなどだ。代替テキストとは、画像が何らかの原因で読み込めない際に代わりに表示される、あるいは画面読み上げソフトを利用した際に読み上げられるテキストを指す。これが未設定の場合、たとえば視覚障害者など文字で画像の情報を得たい人が情報を得られなくなってしまう。 ■ [プロセス2] 具体的な方針を確定 これらの課題を踏まえ、方針を決めるにあたり専門的知識を持つ外部パートナーにWCAG2.1レベルAAの内容を踏襲した「アクセシビリティ対応チェックシート」の作成を依頼した。 チェック項目は上述した「代替テキストの入力」や「背景色と文字色のコントラスト比」を含め、かなりの量がある。といっても、CMSを利用すれば一部のチェック項目は自動で満たすようCMSが設計されているそうだ。 ■ [プロセス3] 社内教育をスタート チェックシートの完成後は、社員教育としてウェブアクセシビリティの説明会を度々開催。技術的な説明よりも、「なぜ今ウェブアクセシビリティに取り組むのか」の意義を強調して伝えたと後藤氏は言う。 ┌────────── どうやって品質基準を達成するのかといった技術的な話も必要ですが、それが中心になってしまうと、『クリエイティブな表現ができなくなる』といった誤った方向に捉えられてしまうかもしれません。 自社のブランド価値向上や世の中の意識の変化などを踏まえ、品質基準の向上が求められていると、納得感を持ってもらえるような伝え方をしています(後藤氏) └────────── 制作担当が変わることもあるため、説明会は現在も随時開催している。そのほか、制作に携わる社員が迷った際に相談できる窓口も用意している。こういった基盤を整えたうえで、商品の改廃、あるいはウェブサイトのリニューアルのタイミングでウェブアクセシビリティの品質基準を満たすような改修を各部署に依頼した。