いよいよ『ラストダンス』の最終章へ、川崎ブレイブサンダースのニック・ファジーカス「できる限り、僕のプレーを見てほしい」
「今はコートにすべてを置いていくつもりでプレーしています」
――復帰してからすぐに30分近くのプレータイムと、いつものようにフル稼働しています。 これは僕が望んでいることです。そしてラストシーズンだけど、僕は高いレベルでプレーできます。「なんでこんなに出場しているのに引退するの?」と人々は混乱するかもしれないですが、僕はできるだけ多くの時間プレーすることで、チームが勝つ可能性を高めたい。これは川崎に加入してからの12年間ずっとやってきたことで、もう膝の状態は気にしていないです。もし、これから故障など何か起きたらそれまでだと思っていますし、今はコートにすべてを置いていくつもりでプレーしています。ファン、チーム、そして川崎という組織のためにすべてを出し尽くすことだけを考えています。そして、ここからはよりアグレッシブにプレーし、より多くの責任を背負っていきたい。数年前のように『ゴー・トゥー・ガイ』の部分を強めていきたいです。 ――これまで川崎はリーグ上位の常連でした。それが今はCS出場圏外です。そのことにストレスを感じはしないですか。 チームは現状をしっかりと受け入れています。これまでは、この時期になるとポストシーズンでのシードを気にしていたのが、今はプレーオフに出場できるかを争っている。上位に対して、僕たちはアンダードッグ。これは今までと違うことなので混乱するかもしれないです。もちろん、アンダードックではないに越したことはないよ(笑)。でもすべてのシーズンはどんな状況になるか分からないものだよ。 今は目の前の試合でベストを尽くすことだけを考えるだけで、いかにベストの川崎を出せるかに集中しないといけない。そして、みんながヘルシーで万全な状態となれば、川崎が強力なチームであることはリーグのみんなが分かっていくと思う。
「僕らが一緒に10年近くプレーすることを許してくれた組織に感謝している」
――あらためて、一つのチームに12年間在籍したことは本当に稀なことです。そのことに関して、どんな思いですか。 同じ組織で12年間もプレーできたことは幸運な面も少しはあるだろうね。ただ、僕は川崎にずっと在籍したかった。そしてこれだけの期間、チームに必要とされるためにできることのすべてをやってきた。これは、僕がどれだけ川崎というチーム、街を愛していたかの証明だと思っている。 ――周囲は、これから『ニックの最後』という意識がより高まり、チームメートもそういう思いが強くなっていくと思います。 正直に言って、自分はそういう思いを抱いていないんだ。(篠山)竜青、(藤井)祐眞、ハセ(長谷川技)とずっと一緒にプレーしていた選手たちにとって、僕たちが一緒にプレーできるラストシーズンというのは大きな意味を持っていて、大きなモチベーションになっていると思う。そして、僕らが一緒に10年近くプレーすることを許してくれた組織に感謝している。ただ、彼らのように長い期間ではなく、今シーズンから加入した選手、数年だけ一緒の選手とかに、僕のラストシーズンについて特別に意識してもらう必要はないし、特に意識せずにプレーしてもらいたい。 ――残りの試合、最も大事なのはどんなことになりますか。 何よりも精神面で、すべての試合でしっかり準備をすること。どんな試合もプレーオフのように絶対に勝たないといけない一戦となる。そして、自分たちのクオリティーについて自信を持つことです。 ――最後にファンへのメッセージをお願いします。 ファンの皆さんにはできる限り会場に来て、僕のプレーを見てほしいです。もし、会場に来られなかったら配信で見てほしい。これまでのサポートを本当に感謝しています。そして、皆さんの期待していることを成し遂げたいです。
鈴木栄一