ティームー 、広告費が1000%増に:集中的マーケティングの圧倒的規模「このような戦略は見たことがない」
圧倒的な規模感と積極性
今日では、ソーシャルメディアをスクロールするだけで、あるいはウェブサーフィンするだけでも、ティームーの広告を目にするようになった。ティームーのオレンジ色の箱がパッケージルームやメールルームでよく見られるようになった。昨年の夏、USPS(アメリカ合衆国郵便公社)の作業員が、ティームーの商品をあまり注文しないよう人々に嘆願するTikTok動画がバイラル化した。来月には、1億人を超える人々がスーパーボウルを見ると推定され、そこで流されるティームーの広告は最高700万ドル(約10億4000万円)を要すると一部で推定されている。 独立eコマースアナリストのアンドリュー・リプスマン氏は、「このような戦略は見たことがない」と、米モダンリテールに語った。 「類似のものは見たことがあるが、これほどの規模と積極性を持 つものはなかった」と、同氏は述べる。「ティームーは、あるレベルの文化的認知を生み出すことで、単にトラフィックのサヤ取りを試みているほかのブランドでは達成できなかったような形でメインストリームに入り込むことができたのだと思う」。
物量任せのアプローチ
Googleマーチャントセンター(Google Merchant Center)の広告データも、米国と海外の両方についてそれが正しいことを裏づけている。たとえば、ティームーは過去28日にわたって英国内における「衣服とアクセサリー」広告の可視性で第1位にランクされており、AmazonやeBay、エイソス(Asos)、シーイン、ナイキ(Nike)よりも上位だ。同社の広告/オーガニック比(同社の商品が、オーガニックな結果と比較してGoogleショッピングの広告からどれだけ多くインプレッションを獲得したか)は100を超えている。それに比べてAmazonは10で、eBayは8だ。 「これは、オーガニックな広告が全くないことを示している。ティームーは単に市場を広告で埋め尽くしているだけだ。有料の可視性だけでも、他社の有料とオーガニックの可視性を合わせたものを上回る。驚異的なものだ」と、スメックのライアン氏は米モダンリテールに語った。 ティームーの広告戦略が常識外れなのは、その量だけでなく、それらの広告の中身だと、ライアン氏は語る。ソーシャルメディアでのティームーの広告は1つのカテゴリーに特化しておらず、あるカルーセルスライドでは懐中電灯を、次のスライドではランジェリーを宣伝するといった調子だ。「不思議な広告だ。広告においてターゲットを定めない、物量任せのアプローチをとっている。GoogleサーチやGoogleショッピングにおける同社の広告がもっともターゲットを絞っている。これは、Googleが実際に処理を行うからだ」と、同氏は述べている。