6月の一大イベント「大学日本代表候補合宿」はプロへの登竜門! 昨年は15人がドラフト指名、今永も佐藤輝も牧もこの合宿で大きくなった【主筆・河嶋宗一コラム『グラカン』vol.25】
強烈な印象を残した8人のプロ野球選手たち
巨人・菅野 智之投手(東海大) 候補合宿を初めてみた2011年、印象に残っているのは巨人の菅野投手です。東海大時代、ドラフトの目玉として騒がれていた菅野投手の投球は今の大学生と比較しても別格の投手だと思います。右スリークォーターから常時140キロ後半の速球、カットボール、スライダー、カーブをテンポよく投げ込んで2回4奪三振。甘いコースが一切なく、だれることもなく、打者を追い込んでいく投球は打ち崩しようがありません。まさに力と技を兼ね備えた投球でした。 広島・大瀬良 大地投手(九州共立大) 2013年のドラフトの目玉だった大瀬良投手。下級生の時から150キロ台の速球を投げ込んで、スカウトから注目されていました。最終学年となった大瀬良投手は安定感が高まっていました。ゆったりとワインドアップから始動し、常時140キロ後半の速球を投げ込んで、打者の内角へ強気に投げ込む投球が印象的でした。スライダーの切れ味も鋭く、総合力の高い投手でした。今年はノーヒットノーランも達成し、順調に結果を残しています。 2015年の田中 正義投手(日本ハム)、今永 昇太投手(カブス)、吉田 正尚外野手(レッドソックス) この年の合宿はイレギュラー。例年と違って6月から3月に開催され、例年は45名の参加が31名。そこからこの合宿で22名の代表選手を決めるというものでした。今プロでも全盛期を迎えた選手たちが見られ、有意義な合宿でした。 スピード面で圧巻だったのは創価大の田中 正義投手。大学2年の大学選手権で常時150キロ台の速球を投げ込むド派手なデビューを飾り、大学3年春には当時の大学球界では目玉的な投手と扱われていましたが、ENEOSとのオープン戦で登板し、150キロ台の速球を投げ込んでいました。カブスで活躍する今永 昇太投手(駒沢大)も140キロ後半の速球、カーブ、スライダーを高低に投げ分けていました。吉田 正尚外野手(青山学院大)はENEOS戦で今と変わらぬ豪快なスイングで痛烈な適時打を放ちました。 2018年 甲斐野 央投手(西武) この年になって、代表候補投手のストレートの高速化が顕著になったかなと思います。甲斐野 央投手(東洋大)は最速156キロを計測しました。写真を撮るために横から見ていましたが、本当に速かった。甲斐野投手だけではなく、150キロ超えは7人。合宿に参加した21人中、20人が140キロ以上を計測しました。これまで合宿を見ていても、こんなに多くの投手が150キロを計測することはありませんでした。当時の平塚球場は球速が出やすかったといわれていますが、それ以降の候補合宿もほぼ同じペースで150キロ超え、140キロ後半の速球を投げる投手が出ていますので、2018年から大学生投手の能力が飛躍的に伸びた年だったと思います。 2022年 矢澤 宏太投手(日本ハム) ドラフト1位候補に挙がった二刀流・日本体育大の矢澤 宏太投手(藤嶺藤沢)のパフォーマンスが印象に残りました。 投げては140キロ後半の速球、低めに鋭く落ちるスライダー。打者としても打撃練習で快音を響かせ、そして50メートル走では全体1位となる5秒98を計測し、投打どちらも大きなアピールに成功し、インパクトを残しました。 2023年 村田 賢一投手(ソフトバンク) 多くの速球投手、好打者も参加しましたが、明治大・村田 賢一投手(春日部共栄)の投球が印象に残りました。先発時の村田投手は140キロ前半の速球、スライダー、ツーシームを巧みに投げ分ける技巧派の投球でしたが、この合宿ではリリーフということもあって、全力投球。最速150キロを計測し、変化球も精度も非常に高かったです。これまでのイメージが一変する投球でした。 今年は157キロ右腕・中村 優斗投手(諫早農-愛知工業大)が5者連続三振を奪う快投を見せるなど、多くの選手が首脳陣へアピールしました。候補選手から何人がプロ入りするのでしょうか。 *『主筆・河嶋宗一コラム グラカン!』は毎週日曜配信します。